早慶・立命など全国に広がったキャンパス
しかし、これも1991年の大学設置基準の大綱化で姿を消し、学年ごとの学びの縛りがなくなった。教養教育も専門教育も学年に関係なく学べるようになったのだ。
そこで、早稲田大は1987年に埼玉の所沢キャンパスを設置。この頃から学年によって学ぶキャンパスを変える新設から、学部4年一貫教育を行うキャンパス新設が増えていく。
その他、慶應義塾大が1990年に神奈川・藤沢市に湘南藤沢キャンパス、1994年に立命館大がびわこ・くさつキャンパス(滋賀)を開設するなど、郊外のキャンパス設置が多くの大学で実施された。
このように工場等制限法によって新学部設置がままならず、郊外に新設大学が増えた。さらには大学誘致を進める自治体もあり、首都圏や近畿圏だけでなく、様々なところに大学が新設されていったという経緯がある。
再び都心回帰の動きが起きた背景
その工場等制限法も2002年には廃止され、大学、学部の設置の抑制方針が撤廃された。多くの大学は立派なビル型の新校舎を建設し、学部設置も行っていった。同時に郊外に進出した大学も再び都心回帰を目指した。
東洋大は2005年に朝霞キャンパスの文系学部の1、2年生がメインの文京区の白山キャンパスで学ぶようになり、4年一貫教育を行うようになった。
東洋大学・白山キャンパス(東京都文京区)
青山学院大も厚木キャンパスを廃止し相模原キャンパスを新設し、2013年に文系学部の1、2年生はすべて青山キャンパスで学ぶことになった。相模原キャンパスでは理工、社会情報、地球社会共生、コミュニティ人間科学の4学部の学生が学んでいる。
また、中央大は2019年に国際情報学部を新宿区の市ケ谷田町キャンパスに新設した。法学部は2023年に文京区に移転する。多摩キャンパスで学ぶのは来年だけとなるため人気を集めそうだ。
中央大学・多摩キャンパス(東京都八王子市)