国内

「虹の松原」事故で死亡した小5男子。母の心を救った“奇跡の絵”  

松の木が直撃した事故で亡くなった小学5年生の川崎辿皇(てんこう)くん。この絵から奇跡のような連鎖が起こった。

松の木が直撃した事故で亡くなった小学5年生の川崎辿皇(てんこう)くん。この絵から奇跡のような連鎖が起こった。

 日本三大松原のひとつ、佐賀県唐津市の名勝「虹の松原」を通る県道で、2019年に悲惨な事故が起こった。通りかかった車に折れた松の木が直撃、助手席に乗っていた小学校5年生の川崎辿皇(てんこう=当時11才)くんが犠牲になったのだ。

 2019年7月20日。台風の影響で、楽しみにしていた神社の縁日が中止になってしまい、ちょっとしょんぼりしていた辿皇くん。母親の明日香さんは、元気づけようと、少し遅い時間だったが、辿皇くんの大好きな『鬼滅の刃』のマンガを買いに行こうか? と声をかけた。

 うれしそうに、すぐ、行こう! と3才年上の姉と車に乗った辿皇くん。途中でお財布を忘れたことに気づいて、「おっと、いけねぇ、いけねぇ」といったん家に取りに戻った。「あら、気をつけて行ってらっしゃい」といつものように声をかけたのが最後だった、と家にいた祖母は振り返る。

 それからわずか10分ほど後、「テンが脈打ってない・・・」と明日香さんから呆然とした声で電話があった。「脈打ってないって? どういうこと!?」。

 状況がよくわからないまま事故現場の虹の松原に駆けつけた祖母が見たのは、真っ暗な道路で、明日香さんの車の上に、折れた松の木が覆い被さっている光景だった。

 虹の松原とは、約4.5キロにわたり約100万本の松が連なる松林。400年の歴史をもち、地元の市民らが誇りにしている特別名勝だ。しかし、長い年月を経て倒木の危険性がある松の管理も問題になっていた。

 台風や大雨、強風など悪天候時には、松原を通る道は警察が通行止めの指示を出すことになっているが、実際通行止めになったのは、事故が起こった2019年までの15年間で5回しかない。

 事故当時の天候は、台風による大雨は過ぎた後だったが、折れた松の木は事故以前から、道路の上まで倒れるように下がってきていたので、大量の雨を含んでその重みに耐えられなかったのだ。

 実際に夜、虹の松原を車で走ってみると、街灯がない道は想像以上に暗く、20メートルほど先を見通すことも難しい。4.5キロの間に信号機は入口と出口の両端に1か所ずつ、その間には1か所あるだけだ。

 事故当時の状況を思い出すといまも胸が苦しくなる、という明日香さんだが、取材に応えてくれた。

関連記事

トピックス

橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
看護師不足が叫ばれている(イメージ)
深刻化する“若手医師の外科離れ”で加速する「医療崩壊」の現実 「がん手術が半年待ち」「今までは助かっていた命も助からなくなる」
NEWSポストセブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
キール・スターマー首相に声を荒げたイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
《英国で社会問題化》疑似恋愛で身体を支配、推定70人以上の男が虐待…少女への組織的性犯罪“グルーミング・ギャング”が野放しにされてきたワケ「人種間の緊張を避けたいと捜査に及び腰に」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン
フレルスフ大統領夫妻との歓迎式典に出席するため、スフバートル広場に到着された両陛下。民族衣装を着た子供たちから渡された花束を、笑顔で受け取られた(8日)
《戦後80年慰霊の旅》天皇皇后両陛下、7泊8日でモンゴルへ “こんどこそふたりで”…そんな願いが実を結ぶ 歓迎式典では元横綱が揃い踏み
女性セブン
犯行の理由は「〈あいつウザい〉などのメッセージに腹を立てたから」だという
「凛みたいな女はいない。可愛くて仕方ないんだ…」事件3週間前に“両手ナイフ男”が吐露した被害者・伊藤凛さん(26)への“異常な執着心”《ガールズバー店員2人刺殺》
NEWSポストセブン