ライフ

地元仲間の笑顔と温もりに会える 赤羽の坂の上、“桃源郷”のような角打ち

“住みたい街ランキング”で上位常連の街、赤羽。JRが5路線((埼京線、京浜東北線、宇都宮線、高崎線、湘南新宿ライン)利用できて交通の便もよく、昔ながらの商店や「酒飲み街」といわれるほど居酒屋が充実していることなどがその理由である。

 そんな魅力溢れる街・JR赤羽駅の西口からほんの数分、再開発で新しいマンションや店舗が建ち並ぶ大通りから横道を入り、喧噪から離れた坂の上に忽然と現れる『岡田屋酒店』は、まるで“桃源郷”の様だ。

「街の中の小さな酒屋ですけどね…」と3代目店主の岡田俊明さん(56歳)は照れくさそうに笑う。

「最初に、先々代の祖父がここに店を構えると決めて、この東南の角地を選んだんです。その頃はお客さんに庭先で飲んでもらってたこともあったらしいけど、親父の代では、店での酒の販売がメインになっていました。私が継いでから、角打ちをちゃんとやりたくなって、店内に飲めるスペースを作り、厨房も(コロナ禍の)休業中に改修しました」(店主)

 お客はほぼ、ご近所の常連さんだという。

「あーちゃん」「おーちゃん」など、客同士は愛称で呼び合い、仲がよい。ずっとこの街に住んでいて、70代80代になっても同級生のような付き合いが続いているのだという。

「もう、この店とは50年の付き合い。昔は仕事帰りに、今は妻と一緒に週4日は来ています。近所飲みでは、隠し事もできない。全部バレちゃうんだよ(笑い)」(80代、元不動産業)

「生まれも育ちも赤羽の土地っ子。この店も近所のお兄ちゃんに連れてきてもらった。ここは地元のつながりが強いの」(70代女性)

夕方になると近所の常連が集まってきて、店主と語らいながら酒を傾ける

夕方になると近所の常連が集まってきて、店主と語らいながら酒を傾ける

 犬の散歩をする人、自転車に乗る人など、店の前を行き交う人すべてに次々と声をかけ、挨拶をする店主の姿が印象深い、地域に深く根ざした店だ。

「この街ではね、たとえ自分が知らない人でも、きっと誰かの知り合い。だから当然、みんな知り合いってことじゃないですか」(店主)

 朝から夕方まで一緒に店に立つ、店主の母・勝子さん(84歳)が「長男は会社勤めで次男が店を継いでくれた。子供の頃から次男は商売に向いてると思ってた」と語る通り、朗らかで人懐っこさがにじみ出る店主を慕って次々と客が訪れる。

「ここでは仕事の話はしないです。だから楽しい。飲みに来ない人でも、店の前を通りすがる人はみんな知り合い、挨拶するのは当たり前でしょ」(50代、サッカー関連の自営業)

関連記事

トピックス

記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
解散を発表したTOKIO
《国分太一コンプラ違反で解散のTOKIO》山田美保子さんが31年間の活動を振り返る「語り尽くせぬ思い出と感謝がありました」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
モンゴルを訪問される予定の雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、「灼熱のモンゴル8日間」断行のご覚悟 主治医とともに18年ぶりの雪辱、現地では角界のヒーローたちがお出迎えか 
女性セブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト
佐々木希と渡部建
《六本木ヒルズ・多目的トイレ5年後の現在》佐々木希が覚悟の不倫振り返り…“復活”目前の渡部建が世間を震撼させた“現場”の動線
NEWSポストセブン
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン