「行きすぎた保護主義は、当の少年たちに、“少年法に守られている”という意識を与え、凶悪事件にブレーキがかかりにくいという側面は否定できません」(前出・諸澤氏)
未成年者による残虐な事件は過去にも多く発生し、そのたびに議論が噴出した。犯行時少年ながら死刑判決を受け、執行された例もある。
「今回の事件は2人殺害しているので、特段の事情がないかぎり刑事裁判にかけられます。その場合、極刑の可能性もありえますが、量刑を判断する上で重要な争点となるのは、犯行動機やそれを立証する証拠の有無です。Aには強い殺意や計画性があったとされますが、そこに病理的な因子が含まれているかどうかも争点となるかもしれません」(犯罪社会学を研究する土井隆義氏)
さまざまな問題を抱える少年法だが、来年4月に大きな転機を迎える。
「成年年齢を18才」とする民法の一部が改正・施行されることで、18才と19才は「特定少年」として扱われることになった。重大事件では刑事裁判にかけられる可能性が高まり、起訴後の「実名報道」が解禁されるなど、厳罰化が進もうとしている。
「Aの計画性の高さを考えると、少年法改正まで半年という狭間のタイミングで事件が起きたことに関連がないとは言い切れません」(別の捜査関係者)
全容解明が待たれるとともに、遺族となった姉妹が、一日も早く平穏な日常を取り戻すことを願ってやまない。
※女性セブン2021年11月4日号