打撃の神様のゴルフを知る脇勉氏
国松さんから聞きましたが、野球人ならどの世代の選手、OBであっても“打撃の神様”を前にしたら直立不動だったそうです。もちろん、川上さんの現役時代を知る私も、“偉大な人”という目線で見ていました。ところが、少し下の世代のゴルファーになると川上さんの偉大さを知らない。
だから、レフティの会では川上さんに対して「会長、野球選手だったのに案外飛ばないですね」なんて軽口を平気で叩く人もいたんです。若い会員たちが川上さんに馴れ馴れしく接するので、国松さんや私はそれを見てハラハラしていたのですが、川上さんはラウンド中ずっとニコニコしていたし、プレー後の会食でも豪快に笑い飛ばしている。
レフティの会では、野球の世界での扱いとは全く違う交流になるのが、川上さんは嬉しくて仕方がなかったようなんです。ゴルフを通じた交遊があったから、そうした川上さんの人間的な魅力を感じられたのだと思います。
※週刊ポスト2021年11月5日号