新型コロナウイルスの感染症対策などに抗議し、プラカードを掲げてデモをする人たち(時事通信フォト)

新型コロナウイルスの感染症対策などに抗議し、プラカードを掲げてデモをする人たち(時事通信フォト)

 テレビや新聞でも、ネット上の真偽不明な情報を簡単に信じる、いわゆる「反ワクチン」の人々による言動が紹介されていた。もし、そういった人が身近にいたら、その人を否定せず「でもこういう情報もある」と優しく指摘すればよい、という専門家の話を聞いたあとには、懇切丁寧にワクチンをめぐる現状を、妹に説いてみたこともあった。しかし、いずれも上手くはいかなかった。

「夫がワクチンを否定したことで、妻と子供が離れて暮らすようになった家族がいるという報道も見ました。その後、夫とされる人がSNSで”うちの家族がおかしい”というようなことを投稿していて、血の気が引きました。妹がこうなれば、私たち家族は終わりだと」

 ワクチンを接種した件は、妹に明かそうと考えていたという副島さん。激怒されるだろうし、場合によっては縁切りされるかもしれない、それくらい妹は本気だった。

 同じように反ワクチンを唱える人たちが集まるコミュニティで紹介された、コロナ予防に効くと聞かされたサプリメントを入手しては、離れて暮らす姉弟や両親に送りつける妹。馬鹿げたことをしていると副島さんは思っていたが、送られてきた様々なものを送り返したり、そのままゴミ箱に捨てるのも気が引けた。家族を思う妹の気持ちは本物で、無碍にするわけにもいかなかったのだ。それでも、接種を隠すのは妹に嘘をついているような気持ちになり、ついに告白した。

「接種したと告げると、なんで!と叫んだ後、電話は一方的に切られました。”職場でのプレッシャーがやばい”と悩んでいた弟も同じタイミングで接種を終えていて、同じように妹に報告したそうなんですが、もう縁を切る、と言われてまったそうです」

血縁者による強烈な反ワクチン活動は不幸な災害のようなもの

 結局、副島さんの両親と妹家族は今も全員ワクチン未接種のまま。妹には直接連絡を取ろうとしても着信拒否、SNSはブロックされているために、新たに別アカウントを作って、妹の動向を弟と共に観察する日々が続いているという。

「これから第6波が来たとしたら、その時、父も母も妹家族も、みんなが危険なんです。でも、世間はワクチンパスポートを持っていればどこにでも行ける、という雰囲気でしょう。父や母に電話をしてどんなにワクチン接種をしてくれとお願いをしても、妹がいるから、妹が怒るから、と動いてくれません」

 気がかりなのは、両親と妹家族が、これを機に社会から孤立しないか、変人だと煙たがられながら過ごすことになるのではないか、ということだ。

 報道やネットで見かけるだけのワクチン接種反対を呼びかける人たちについては、そんな心配はまったく思い浮かばない。最初は「暇な人だ」と思ったし、変わっている人たちだと思い、自分には縁がないと思っていた。しかし、身近な血縁者がそうなってしまった。副島さんは「不幸な災害のようなもの」と表現する。

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