朝青龍とも親交があった細木数子さん(2005年9月。時事通信フォト)
占いに振り回されているようじゃダメ
── 一般の人はどうしたら地獄を避けられるのですか。
「まずは器の大きさを知ることだよ。『己を知る』ということ。たとえば、マラソンが好きだとするよ。走り続けていれば、オリンピックに出られるかい? 違うだろ? もしそれに気づかずに人生をマラソンに捧げたとしたら、不幸な人生だよ。器の大きさを錯覚するから、苦しくなる。
人には、持って生まれた器、パワーがあるんだよ。これを見誤るからおかしくなる。スターになれない奴は、いくらスターを目指したってなれやしないの」
──では「己を知る」にはどうすればいいのでしょう。
「ここで、六星が登場するんだよ。これを入り口にして、自分の長所、短所、運気の流れを知ればいい。それが『己を知る』第一歩。
ただし、六星は『その場しのぎのお助け』じゃないよ。しかも絶対じゃない。『自分には優柔不断な面があるから、迅速に決断しよう』とか、『大殺界という冬の時代だから、春に備えて耐え忍ぼう』と、自分の考える道具に使うのが本来の姿だ。占いに振り回されているようじゃ、本当の自分なんていつまで経ってもわかりゃしないよ」
──己や立場をわきまえ、六星を有意義に使えば、自ずと人生が開けてくる、と。
「40歳以上の男は特に、『家』(地域、近隣の住民)、『仕事』、『家族』の3つの柱を大切にすることだよ。これが、あなたの『いま』。会社や周囲に不平不満ばかりだと、この『いま』が見えなくなるんだね。この3つのためにションベンに血をにじませながら働いていたはずなのに、そのことを忘れちまうから地獄に堕ちるんだ」
──なぜ不平不満が増えてしまうのでしょう?
「『使われ上手』じゃないからだね。『偉くなろう』なんていう下手な野心や、『自分はもっと評価されていいはずだ』という邪魔なプライドが、おかしくするんだよ。一度、プライドを捨てて使われてみな。周囲の見る目もかわって、自然と引き上げられるよ。3つの柱を守ろうと思ったら、プライドなんて邪魔になるよ。
リストラ後や定年退職後の再就職なら、それ以上にプライドを捨てることだね。一兵卒になりきるしかないよ」
※週刊ポスト2005年5月13日号掲載のインタビューを元に再構成