子どものコロナ死、日米の違い
11月2日現在、日本の10歳未満のコロナ死はゼロと報告されている。10代では3人が亡くなっているが、1人は事故死した後に検査で陽性が判明した例で、残り2人は重症化リスクを抱えていたとされ、基礎疾患のない健康な10代は1人も死んでいないことになる。
一方、アメリカでは、米CDCの統計によれば、10歳未満のコロナ罹患による死者は269人(2020年1月〜2021年10月)、10代では542人(同)で、20歳未満では計811人がコロナに罹患して死んでいる。10代以下でこれほどの数が亡くなっていれば、アメリカで「子どもにもワクチンを」との声が高まるのは理解できる。が、状況がまったく異なる日本では、子どもへの接種に関するより詳細なデータが必要なのではないか。
そもそもなぜ、日米で子どもの死者数にこれほど差があるのか。元京大病院の医師で、みやざわクリニック(兵庫県宝塚市)の宮澤大輔院長は、世界中でコロナの流行が始まって間もない2020年6月、海外のウイルス学医学誌に肥満とコロナ重症化の関連を示唆した論文を投稿し、アクセプト(査読を経て承認)されている。現在ではコロナの重症化には肥満が大きく関わっていることが明らかになっているが、そのことにいち早く気が付いた宮澤医師はこういう。
「これは別の論文(*注)で書きましたが、流行初期における人口あたりのコロナの国別死亡者数は、おおよそ4割が肥満、4割が年齢(高齢)で説明できます。米CDCが今年9月に発表した論文によると、アメリカでは断続的に学校閉鎖が実施され、子どもたちはステイホームを強いられたため、2020年3月から11月にかけてBMI値(身長に対する体重の一般的な指標)が、コロナ流行前の約2倍の割合で上昇したとされています。もともと日本の子どもに比べ肥満率が高いが、さらに上昇している。アメリカの子どものコロナ死が多いのは、主に肥満が理由ではないかと私は考えています」
コロナの感染を防ぐためのステイホームが、逆効果になったのではないかという。
【*注/Face masks, old age, and obesity explain country’s COVID-19 death rates. medRxiv. 2020(preprint)/medRxiv/2021年1月3日投稿】