国際情報

明代の紫禁城玉座の絨毯がオークションに 落札額は4.5億円以上か

龍の姿が縫い込まれた絨毯が400万ドル以上で落札

龍の姿が縫い込まれた絨毯が400万ドル以上で落札

 11月下旬にパリで開催されるクリスティーズのオークションで、16世紀の明朝(1368~1644年)時代に北京・紫禁城の皇帝の玉座の床を飾った龍の姿が縫い込まれた絨毯が400万ドル(4億5000万円)以上で落札される見通しであることが明らかになった。

 皇帝の玉座の周辺に敷き詰められた龍の絨毯は個人所有では世界で7枚しかなく、今回出品されるのはそのうちの一つという貴重なもの。これまで皇帝の絨毯として競り落とされた最高額は170万ドル(約2億円)で、今回の絨毯の値段が最高値となる見込みだ。

 この絨毯は横5メートル縦4メートルで、現存する明代の39枚の絨毯のなかでは最も大きい。また、そのうち、龍が描かれているものは16枚で、9枚は紫禁城の中にある北京の故宮博物院が所蔵している。

 絨毯は1920年にアメリカ人夫妻が中国に新婚旅行に行った際に購入したもので、その後米中西部のオハイオ州にあるクリーブランド美術館に貸し出されており、1987年に夫妻がコレクションを売却した際に、スイスの個人コレクターが購入。当時は「インペリアル・レッド」と呼ばれる見事な色彩を施されていたという。

 クリスティーズによると、この絨毯は皇帝の玉座の下の床を覆っていたと考えられ、これは皇帝が天とつながっていることを意味する。皇帝の権力と幸運を象徴する伝統的な2頭の大きな「五爪の青龍」が描かれており、中国の皇帝が「真の龍」または「天の子」であると考えられていたことを象徴しているという。

 この絨毯の下端には都市と丘の風景が描かれて、その上に2頭の龍が描かれ、さらに、その上半分には30数個の雲が浮かぶ空が描かれている。この絨毯の素材は土台が絹地で、その上に厚い羊毛(ウール)が織られており、明朝特有の図法だという。

 中国の明代などの絨毯の多くは1860年代の欧米の国侵略や20世紀初頭の義和団事変、その後の日中戦争などで大半が失われており、無傷のまま現存するのは30枚しかない。

 クリスティーズによると、11月下旬のオークションを前に、コレクターにこの絨毯の写真を紹介しており、すでに408万ドル(約4億7000万円)から540万ドルの値を付けたコレクターがいるという。

関連キーワード

関連記事

トピックス

2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト