2000年代以降、激減した喫煙シーンに復活の兆しが見えたのは、2013年に公開された宮崎駿監督の映画『風立ちぬ』がきっかけではないかと、テレビ局関係者は明かす。
「宮崎監督が集大成として位置づけたこの作品では、主人公の男性が結核に苦しむヒロインの脇でタバコを吸う場面が出てきます。大人向けの作品とはいえジブリ映画ですからファミリー層も観に来る。それでも時代性や関係性を描く上で喫煙シーンは外せないという宮崎監督以下、スタッフの強い覚悟が表れた場面でした。公開後、一部禁煙団体などから『悪影響を与える』と批判の声が上がりましたが、世間に広がる様子はなく、おおむね好意的に受け入れられました。この作品は日本テレビ系でそのまま地上波放送もされたため、テレビ局関係者の間では『必然性さえあれば喫煙シーンを描くことはできる』と考え直すきっかけになりました、
それに、Netflixなどの動画配信サービスでは、『全裸監督』に代表されるように喫煙シーンも普通に出てきます。そうした時代に、テレビだけが自主規制するばかりでは、視聴者が離れていってしまうという危機感も、現場スタッフたちは抱いているようです」