通常、呼吸をしている時は空気を採り入れる気管が広がり、食道の入り口は閉じる。逆に食べ物や汁を飲み込む(嚥下)時は、喉仏が広がり、喉頭蓋という蓋が気管を塞ぎ、食道が広がるようになっている。
ところが加齢などが原因でこの嚥下機能が低下していると、誤嚥を引き起こしやすい。
注意を払うべき具材は水分を多く含むものだけではない。
「口当たりがよく、一見、問題のなさそうなしらたきも、ツルッとした食べ物の究極で、非常に危険です。麺類を食べる時のような感覚でよく噛まずに飲み込んでしまうと、肺に入ってしまうことがあります。また、ゆで卵の黄身のようにパサパサとしてまとまりにくいものもむせる原因となるため、誤嚥を引き起こす可能性があります。
誤嚥してもただちに肺炎になるわけではなく、何らかの原因で体調を崩したタイミングで肺炎を起こすと考えられます。ただし、免疫力が低下している高齢者は肺炎になるリスクが高いです。また、むせて食べ物や水分を大量に誤嚥してしまう『多量誤嚥』の場合、急性の誤嚥性肺炎になる危険性もあります」(前出・井上氏)
※週刊ポスト2021年12月3日号