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死亡者が増加傾向の誤嚥性肺炎を予防 喉を鍛える「嚥下おでこ体操」

「喉の衰え」にどう対応するか(イメージ)

「喉の衰え」にどう対応するか(イメージ)

 冬が近づくとともに食卓に上がる機会が増える「餅」や「おでん」。だが、中高年にとって窒息死や誤嚥性肺炎のリスクは高い。その原因となるのが、「喉の衰え」だ。「喉の衰え」は健康長寿と大きな相関がある。『肺炎がいやなら、のどを鍛えなさい』(飛鳥新社)の著者で、西山耳鼻咽喉科医院院長の西山耕一郎医師が語る。

「喉には『嚥下』、『呼吸』、『発声』という、人間の生命維持に深くかかわる機能があります。喉の機能が衰えると、日常生活に支障が生じて、様々な病気を発症するリスクが増加します。それは高齢者ほど顕著。喉は人間の生命の源なのです」

 声とめまいのクリニック二子玉川耳鼻咽喉科院長の許斐氏元医師が語る。

「たとえば、喉頭まわりの筋肉が衰えると、食事中に物を詰まらせ窒息するリスクが高まります。そのほか喉の機能が衰えれば、睡眠中に呼吸がうまくできず睡眠時無呼吸症候群になる可能性も高まります。

 また、喉を閉じる力が悪くなると上体が不安定になって踏ん張る力が弱くなり、普段の生活のなかで転びやすくなります」

 なかでも最も気をつけたいのが「誤嚥性肺炎」だ。

「加齢に伴って、喉のまわりの筋力が低下したり、異物を気道から押し出す力が弱くなったりすることで、飲食物が誤って気管に入る『誤嚥』が起こりやすくなります。それに伴い、肺で細菌が増殖すると、『誤嚥性肺炎』が生じるのです」(西山医師)

 誤嚥性肺炎を発症すると咳や痰を吐くことが増えて食欲がなくなり、栄養不足や体重減少などによる衰弱が進む。最悪の場合は死亡するケースもあり、2020年以降では俳優の志賀廣太郎(享年71)やお笑い芸人のチャーリー浜(享年78)が誤嚥性肺炎で鬼籍に入った。

 誤嚥性肺炎の死亡者は、コロナ以降増加傾向にあり、2020年の誤嚥性肺炎による死者数は、前年比2400人増の4万2746人(人口動態統計月報年計)にのぼる。

 この死者数の増加は、コロナでマスク着用が日常化したことが原因との指摘もある。みらいクリニック院長の今井一彰医師が語る。

「マスクの着用で表情筋を使わなくなると、それと連動して口まわりや喉の筋肉が衰えます。また、会話が減少すると、口や舌、顎や喉を支える筋力が衰え、食べ物や唾液をうまく飲み込めなくなります。その結果、嚥下力が低下しているのだと考えられます」

 喉まわりの筋力が衰えていると、喉ぼとけの位置が下がるので、鏡を見て要確認だ。

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