ドラマは視聴率も好調(画像はHPより)
塾の講師陣の前では、表情を変えることなく、ちょっと顎を上げ気味に上から目線で一言一言はっきりと言い切るから、威圧感が半端なく伝わってくる。一方、生徒と話す時や親を説得するシーンでは、顎を引き口調は優しく柔らかく、微妙な抑揚や強弱を交え、語尾までしっかりと言う話し方がセリフにマッチし、相手の心に抵抗感を与えることなくすんなり届きそうだ。
それでいて親の前では、対面で椅子に座りながら腕を組むように身体の前で交差させたり、生徒と外で話す時はポケットに手を入れたりと、暗に「何かがあるぞ」と思わせてくれる。鋭い洞察力と行動力で生徒の本質を見抜き、親たちの不安を取り除き解決に導いていくという役柄そのものなのだ。
だが何より、役のキャラクターを強固なものにしているのは柳楽さんの目だろう。真っ直ぐ射るような大きな切れ長の目、その目を縁取る黒いまつ毛が印象的で、目にかかるギリギリの線で揃えられている前髪が、さらにそれを強調させている。講師が職員室で集まり話していると、いつの間にかそこに立っているというシーンも多く、“見ている、見られている”感が演出され、ドキッとする感覚と心の内を見透かされそうな共演者の心情が画面から伝わってくる。
その目を見ていて、「どこかで見たことがある」と思い出したのは、街角や観光地などで時々見かける「目のイラスト」だ。あの「目」には、他者の視線を喚起させることで、防犯対策や迷惑行為を防ぐ効果があると言われる。ドラマ的には目を印象付けることで、監視というより生徒の本質を見抜き見守るというキャラのイメージが強くなるし、「いつでも黒木が見ていてくれる」という生徒側の安心感を視聴者に伝える暗黙のメッセージにもなる。
さらに言えば、柳楽さんの目でイラストを思い出したのは、瞬きが少ないからだ。井上真央さん演じる新任塾講師・佐倉麻衣とのシーンでは、近い距離で相手に視線を合わせ、瞬きせずに話すため、佐倉のそわそわ感や居心地の悪さがリアルに伝わってくる。瞬きをしないことで対面する相手との間の緊張感が高まり、シーンにメリハリが生まれるのだ。
原作を読みたいところだがここは我慢。先の展開を知りたくないのでネットのチェックも止めだ。どんな結末に向っていくのか、これからの展開が楽しみだ。