芸能

日活ロマンポルノの女王・白川和子が「本当の団地妻」になるまで

多数の日活ロマンポルノ作品に出演した白川和子の半生とは(イメージ)

多数の日活ロマンポルノ作品に出演した白川和子の半生とは(イメージ)

 日活ロマンポルノはこの秋で50周年を迎える。白川和子は1971年の第1作から出演し、50年後の今も「ロマンポルノの女王」と呼ばれている。そんな彼女には、女王の座を降りて本物の「団地妻」になった過去があった。

 高度経済成長のまっただ中、団地住まいのサラリーマンの妻になることが多くの女性の憧れだった時代。多忙な夫とのすれ違い生活で性的に満たされない団地妻が、やがてコールガールとなって性に目覚めていく──。

 1971(昭和46)年11月20日、不振にあえぐ日活が起死回生を賭したロマンポルノ第1作『団地妻 昼下りの情事』が封切られた。同作は連日立ち見が出るほど反響を呼び、わずか750万円の制作費で1億円もの興行収入(当時)を叩き出したといわれる。記念すべき作品の主演女優となった白川和子は、「ロマンポルノの女王」と称され、今や日活ロマンポルノの象徴となっている。

 白川がポルノの世界に踏み出したのは1966年。小さな劇団で活動していた大学生の時に、週刊誌のヌードグラビア撮影が舞い込んできたことがきっかけだった。出演に躊躇していた白川は、誌面で対談した作家の三島由紀夫に後押しされたことで、セミヌードになることを決意。翌年にはピンク映画『女子寮』で女優デビューを果たす。以降、約200本以上のピンク映画に出演することになる。

「和子を出せば必ず売れる」

 白川に転機が訪れたのが1971年。大手映画会社・日活からオーディションが持ちかけられたのだ。日活はポルノに進出するにあたり、手探りで出演する女優を探していたのである。まだ当時はポルノに対する周囲の風当たりは強く、所属する女優は軒並み出演に難色を示し、耐えかねて退職する社員や女優が後を絶たなかった。日活が手を尽くして探し当てたのが、ピンク映画で人気を博していた白川だったのである。

 当時、東洋一といわれた日活撮影所での撮影は、白川にとって驚きの連続だった。それまで白川の出演してきたピンク映画は、旅館の一室で人目を忍んでこそこそと撮影するものだったが、街を丸ごとセットにした撮影所の大きさに度肝を抜かれた。慣れぬポルノ作品に対するスタッフの情熱にも感化され、白川はピンク映画の女優から、ロマンポルノ女優としての道を歩み始めた。

 第1作『団地妻 昼下りの情事』の大ヒットは、白川を瞬く間に人気女優に押し上げた。

 同作の成功を受けて『団地妻』はシリーズ化。以降20作品が製作される人気シリーズとなった。そのパイオニアである白川は「団地妻」女優としての地位を築いていた。日活社内では「和子を出せば必ず売れる」とのジンクスがささやかれ、男性週刊誌やスポーツ紙は、連日のように「突如として現われた日活の救世主」「映画界に新風」と白川を書き立てた。

 しかし、数々のメディアが取り上げたことが仇となり、それまでひた隠しにしてきた父に知られてしまう。白川の父は防衛庁(当時)勤務で厳格な性格。当然娘の仕事に激怒した。「申し訳が立たないから辞職するぞ」と父が憤れば、「私から芝居を取ったら何も残らない。私、死ぬしかない」と白川も一歩も引かない。度重なる話し合いの結果、「父の名前と職業を公にしないこと」を条件に、白川は女優を続けた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏、夫の音楽家・塩入俊哉氏(時事通信フォト、YouTubeより)
《実は既婚者》参政党・さや氏、“スカートのサンタ服”で22歳年上の音楽家と開催したコンサートに男性ファン「あれは公開イチャイチャだったのか…」【本名・塩入清香と発表】
NEWSポストセブン
かりゆしウェアのリンクコーデをされる天皇ご一家(2025年7月、栃木県・那須郡。撮影/JMPA) 
《売れ筋ランキングで1位&2位に》天皇ご一家、那須ご静養でかりゆしウェアのリンクコーデ 雅子さまはテッポウユリ柄の9900円シャツで上品な装いに 
NEWSポストセブン
注目度が上昇中のTBS・山形純菜アナ(インスタグラムより)
《注目度急上昇中》“ミス実践グランプリ”TBS山形純菜アナ、過度なリアクションや“顔芸”はなし、それでも局内外で抜群の評価受ける理由 和田アキ子も“やまがっちゃん”と信頼
NEWSポストセブン
中居、国分の騒動によりテレビ業界も変わりつつある
《独自》「ハラスメント行為を見たことがありますか」大物タレントAの行為をキー局が水面下でアンケート調査…収録現場で「それは違うだろ」と怒声 若手スタッフは「行きたくない」【国分太一騒動の余波】
NEWSポストセブン
定年後はどうする?(写真は番組ホームページより)
「マスメディアの“本音”が集約されているよね」フィフィ氏、玉川徹氏の「SNSのショート動画を見て投票している」発言に“違和感”【参院選を終えて】
NEWSポストセブン
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
皇室に関する悪質なショート動画が拡散 悠仁さまについての陰謀論、佳子さまのAI生成動画…相次ぐデマ投稿 宮内庁は新たな広報室長を起用し、毅然とした対応へ
女性セブン
スカウトは学校教員の“業務”に(時事通信フォト)
《“勧誘”は“業務”》高校野球の最新潮流「スカウト担当教員」という仕事 授業を受け持ちつつ“逸材”を求めて全国を奔走
週刊ポスト
「新証言」から浮かび上がったのは、山下容疑者の”壮絶な殺意”だった
【壮絶な目撃証言】「ナイフでトドメを…」「血だらけの女の子の隣でタバコを吸った」山下市郎容疑者が見せた”執拗な殺意“《浜松市・ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
連続強盗の指示役とみられる今村磨人(左)、藤田聖也(右)両容疑者。移送前、フィリピン・マニラ首都圏のビクタン収容所[フィリピン法務省提供](AFP=時事)
【体にホチキスを刺し、金のありかを吐かせる…】ルフィ事件・小島智信被告の裁判で明かされた「カネを持ち逃げした構成員」への恐怖の拷問
NEWSポストセブン
組織改革を進める六代目山口組で最高幹部が急逝した(司忍組長。時事通信フォト)
【六代目山口組最高幹部が急逝】司忍組長がサングラスを外し厳しい表情で…暴排条例下で開かれた「厳戒態勢葬儀の全容」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
小室眞子さん“暴露や私生活の切り売りをビジネスにしない”質素な生活に米メディアが注目 親の威光に頼らず自分の道を進む姿が称賛される
女性セブン
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン