阪神大震災で崩落した高速道路(時事通信フォト)
政府は隠れ断層を無視
豊蔵氏によれば、政府の災害シミュレーションはこうした推定断層を考慮せずに作成されているという。
政府の地震調査研究推進本部は全国の活断層を危険度ランク分けしているが、そのハザードマップに記載されているのは全長20km以上の活断層だけ。それより短い活断層は反映されていない。
政府の地震調査委員会は、今後30年以内に震度6以上の地震が発生する確率を示した『全国地震動予測地図』を公表しており、それによると首都直下型地震が発生する可能性は70%。だが、ここでも都心部の推定断層の存在は考慮されていない。
2016年の熊本地震は、それまで知られていなかった活断層が動き、大きな被害が発生した。
「政府は一日も早く、徹底した都心部の断層調査を行なうべきです」(同前)
我々は、いつ巨大地震を引き起こすかわからない“不安定な地”で生活していることを自覚しなければならない。
※週刊ポスト2021年12月10日号