東京都心部の「隠れ断層」マップ
国会議事堂が機能喪失
都心部の推定断層のなかでも、「いつ動いてもおかしくない」と豊蔵氏が指摘するのが、「飯田橋推定断層」だ。
「JR田端駅付近から飯田橋駅、市ケ谷駅、四ツ谷駅の地下を通る全長約7kmの推定断層です。過去7万~8万年の間に大きく2回ほど動いていて、ずれも大きいと考えられます」(同前)
地図を見てもわかるように、「飯田橋推定断層」は防衛省や東京ドーム、迎賓館にも近接している。そのすぐ東側を走る「九段推定断層」周辺には国会議事堂や最高裁判所などの国家中枢機関があり、皇居も近い。
西隣の「市ケ谷推定断層」は信濃町駅の真下を貫き、新国立競技場付近に達している。豊蔵氏が指摘する。
「私が調査している活断層は地表部から深くて70m程度なので、震源が地下100kmと深かった先日の杉並区の地震は、推定断層によるものとは考えづらい。ただ、仮に推定断層が大きく動くことがあれば、震度はより大きく、被害も比較にならないほど甚大なものになるでしょう。
過去の私の調査では、全長が20kmにも満たない断層でも、過去7万~8万年間に大きく2回、そのつど1.5mほどのずれが生じています。山の中なら1.5mずれてもさほど問題はありませんが、都心部で1.5mずれたら大変なことになります」
もし「飯田橋推定断層」を震源とする直下型の大地震が起き、地面が1.5mずれたらどうなるか。
飯田橋駅にはJRが走り、その地下で東西線、有楽町線、南北線、大江戸線が交錯している。市ケ谷駅や四ツ谷駅も同様に複数路線が交差しており、脱線すれば大惨事となる。
すぐ近くの迎賓館や赤坂御用地も甚大な被害を受ける可能性がある。その時、東京ドームで野球やコンサートが行なわれていたら、5万人の観客の命も危険にさらされることになる。
「九段推定断層」がずれれば、国会議事堂や最高裁判所が、「市ケ谷推定断層」が震源となれば、防衛省が機能を喪失する可能性も否定できない。
1995年の阪神・淡路大震災では阪神高速道路が倒壊しており、もし首都高速道路が倒壊すれば地獄絵図となるだろう。