公明党の主張はなぜ通りやすい(山口那津男・代表。時事通信フォト)

クーポンで支給した方が「低コストで給付できる」と語った公明党の山口那津男代表(時事通信フォト)

 人には、労力を使わず何もせずに手に入れたものより、労力や何らかの対価を払って手に入れたものを好むという「コントラフリーローディング効果」がある。一般的に、自分で働いて得たお金は大切に使うが、簡単に手に入れたお金は浪費しやすいと言われるのと同じような意味だ。900億円を無駄使いと捉えるならば、政府や政治家はこの効果が弱いということになる。

 最近は、政治家や政府の無駄使いが繰り返し指摘されている。先日の衆院選でも、当選した新人議員にたった在職1日で100万円の文書交通滞在費が支給され波紋を呼んだばかりだ。騒いでいたメディアの報道もいつの間にか下火になり、日割り支給で話は落ち着き、領収書不要のまま問題は収束してしまいそうだ。

 そのほか、アベノマスクや不具合が相次いだ接触確認アプリ「COCOA」の無駄使いは2108億円。ここにはアベノマスクの在庫の保管費6億円も含まれており、今後も保管するだけで経費がかかっていくということだ。財務省は、造るあてのない記念貨幣用の金の地金に1601億円を使い、非難されつつ推し進めた「GoToトラベルキャンぺーン」の取消料対応費用は1157億円。これだけでもざっと合計4866億円の税金の無駄使いだ。

 政府や政治家だけでなく、省庁や官僚もコントラフリーローディング効果が弱いのだろうと思えてならない。積もる某大な費用と比例してこの効果が弱化していくように思うのは、事業に失敗しても、無駄を出しても、政府も政治家も誰1人としてきっちりと責任を取らないからだと思う。

 だが裏を返せば、4866億円がどこかに流れ、どこかで経済効果を生んでいるということになる。世論が反対・批判しても、政府がコロナ渦の対策として進めれば、国民の知らないところで、知らされていないどこかに税金が流れるのだ。それが誰のための経済効果なのか、決定した人たちに聞いてみたいものだ。

関連記事

トピックス

鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《坂口健太郎との熱愛過去》25歳の永野芽郁が男性の共演者を“お兄ちゃん”と呼んできたリアルな事情
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン