宇宙旅行の前にはメディカルチェックや座学に加え、航空機を急降下させて無重量環境を作る実地訓練を行なう(写真提供/PDエアロスペース)
事業計画では2029年にサービスを開始し、初年度は50人、5年後に年間1000人の宇宙旅行の実現を目指す。同社の宇宙船で注目すべきは、飛行高度、すなわち大気環境に応じて「ジェットとロケットの切り替え」ができる独自エンジンを搭載していることだ。
「ジェットモードで飛び立ち、宇宙空間をロケットモードで飛行、着陸時に再びジェットモードに切り替えることで、東京とニューヨークを2時間で移動する『極超音速機』になります。再使用可能な宇宙往還機なので、宇宙空間まで“ロケット”を運び、これにより人工衛星を軌道に投入する事業にも活用できます」
現在の宇宙旅行はまだ“旅行が好きなセレブ”のものだが、いずれ「退職金で夢だった宇宙に行ってみる」と思えるくらいのものになる、と緒川氏は続ける。
「世界で民間による宇宙飛行が現実となった本年は、数十年後に振り返った時、『宇宙旅行元年』だったと言われているはずです。我々も事業化に向け、準備を進めていきます」
取材・文/稲泉連
※週刊ポスト2021年12月17日号