「オーディション番組出身だと、去年はNiziU、今年はINI、BE:FIRSTの活躍ぶりが目立ちます。選考方法はオーディションによってさまざまです。PRODUCE 101 JAPANのように、視聴者参加型のものもあれば、プロデューサーやトレーナーのみで採点するものもあります。
視聴者参加型は、長い選考過程であればあるほど、投票するという形で一緒に戦っている気持ちにも自然となりますし、成長していく姿を見ているからこそ、応援する気持ちも強くなっていくのではないでしょうか。ステージに立つ姿だけではなく、本人の素の部分、喜びや悲しみ、葛藤を、番組を通じてシェアすることで、見ている人と気持ちが近くなる。完成された姿ではなく、完成に近づいていく姿を見ることで、推しに対する愛着も強くなっている部分もあるはずです」(ふくだりょうこ氏)
さらにふくだ氏によれば、昨年から今年にかけて、コロナ禍で様々な制限がもたらされたことも、オーディション番組の活況に繋がっているようだ。
「もう一点は、コロナ禍も影響しているのではないか、と思います。行動を制限されることが多く、鬱屈した思いが溜まっていく中、夢に向かって努力を重ねている彼らの姿はひとつの光です。そんな彼らの姿に励まされた時間は、視聴者にとってもかけがえのない時間です。だからこそ、また来年以降はオーディション番組に対するファンの反応は変わってくるかもしれません」(同前)
今後コロナ禍がどのタイミングで収束するのかは現状ではわからないにせよ、収束後も視聴者の心を掴むことができるかどうかが、オーディション番組の将来を占う鍵となりそうだ。それは好スタートを切ったINIの活動とも無関係ではないだろう。
◆取材・文/細田成嗣(HEW)