スマイル、白い歯、フィーバーを生んだ新庄氏(写真は2005年)
試合前にベンチに来て挨拶
1985年の日本一メンバーの岡田彰布氏。新庄氏の新人時代のチームの四番だ。岡田氏はこう語る。
「新庄が二軍にいた頃から上(一軍)にも“とんでもなく身体能力が高い高卒ルーキーが入ってきた”と伝わってきてたわ。キャンプで一軍に合流して練習を見た時も、足、肩、守りで新人の中ではズバ抜けてたわな。バッティングは粗削りやったけど、“能力の塊”という表現がぴったりやった。肩が強くて足が速かったから、内野から外野にコンバートして、さらに守備が光るようになった」
ひと回り以上離れている岡田氏は1994年にオリックスに移籍。印象に残っているのは、2004年に阪神の監督となった時に、日本ハムで日本球界に復帰した新庄氏の姿だという。
「2006年に札幌ドームの天井からゴンドラで降りてきたのが阪神との交流戦やったし、2005年にスターウォーズのダース・ベイダーに扮装して出てきたのも阪神との交流戦や。2004年のオールスターでホームスチールした時の監督もオレやったな。日本ハム時代の派手なパフォーマンスの印象が強いわ。
最近、新庄がどこかで“パフォーマンスは絶対に勝てる試合に合わせて3か月以上前から準備する”とか言うてて、それやったらオレの前でばかりパフォーマンスしてたのはどういうことやと思うけどな(苦笑)。でも、日本ハム戦の時は試合前に阪神ベンチに来てちゃんと挨拶してた。世間で言われるようなチャランポランな男やないわな」
岡田氏は、「監督としては期待はしとらんけど、どんなことをするのかという楽しみはあるわな。意外と守り重視の正統派の野球をするかもしれへんで」と締めくくった。
かつての新庄氏を知る男たちは、こう口を揃えた。「新庄やったら、プロ野球を盛り上げてくれるんちゃうかな」と―─。
※週刊ポスト2021年12月24日号