心療内科の待合室(クリニックのホームページより)
「これくらいの広さの建物の場合、階段がひとつしかない、つまり出入り口が1か所しかないのが普通です。推測するに、出入り口付近に放火されたのではないでしょうか。『火の中に突っ込んででも逃げるしかない』と言いたいところですが、もちろん難しい選択です。
条件によっては、消防の指導により避難器具が設置されています。避難器具もいろいろ種類がありますが、窓から脱出するタイプのものもあれば、ちょっとしたバルコニーのような空間があって、そこに避難梯子や避難袋が設置されているタイプもあります」
水野氏は、放火による火災に対して、消防法が設けた基準は弱い部分もあると指摘する。
「法律はあくまで最低基準なので、『普通の火災であれば逃げられる』という想定で作られています。使い勝手とコストの面から、全ての建物に対して、放火のリスクまで鑑みた基準を設定することはどうしても難しい。だから『普通の火災であれば、このくらいの小さな建物は階段ひとつでOK』という基準が設けられているのですが、それは放火による火災においては脆弱かもしれません」
放火という悪意は、“普通”の安全対策をかいくぐる。