超音波を腹部に当て、内臓から返ってくる反射波をもとに臓器の状態を調べる腹部エコー検査は、肝臓がんなどを発見する大事な検査だが、こんな弊害もあるという。
「腹部エコー検査では主に肝臓を見ますが、小さな初期の脂肪肝などの病変が見つかることがよくあります。本来なら治療が必要のない程度のものなのに、医師に指摘され、過剰に脂肪肝に怯える人がいらっしゃいます。
そもそも重大な肝疾患は定期的な血液検査でほとんど発見できるので、わざわざ腹部エコー検査を行なう必要はそれほどありません」(同前)
そう語る岡田医師が最後にこう説く。
「検査を受けた人と受けていない人の総死亡率を原因別に比較するさまざまな研究が行なわれてきたものの、“検査によって余命が延びた”ことを証明する結果は出ていません。もちろんすべての検査が不要というわけではありませんが、受けるべきものとそうでないものを自分の健康状態とよく向きあって判断することが大切です」
※週刊ポスト2022年1月1・7日号