成馬氏によれば「ホームドラマがいつの間にか血なまぐさい展開になる」点が“三谷大河”の一つの特徴だという。
「コミカルなお話に和んでいると、いつの間にか陰惨な殺し合いに変わっているというのが、三谷大河の特徴です。前半のホームドラマ的展開が楽しければ楽しいほど、後半はショッキングな展開となるはずなので、序盤の楽しい世界を堪能しておくと、より楽しめるはずです」(成馬氏)
実際に2004年に放送された『新選組!』では、序盤はコミカルなシーンが多数あったものの、主要登場人物たちが次々に死んでいき、最後は主人公・近藤勇(香取慎吾)の処刑も描かれた。2016年放送の『真田丸』でも、お茶の間の笑いを誘う演出がありつつ、物語が進むにつれて裏切りや騙し合いが繰り広げられていった。
成馬氏はさらに、『鎌倉殿の13人』の女優陣にも注目する。
「長澤まさみの『語り』を筆頭に、新垣結衣、宮沢りえと出演女優がとても豪華です。どの女性も少し性格にクセがあるのが魅力的で、こういう芝居を見たかったと思わせてくれます。中でも良かったのが、北条政子を演じる小池栄子と義時の妹・実衣を演じる宮澤エマ。三谷ドラマは主役でない人が話を重ねるごとに存在感が大きくなっていくことが多いので、この二人がどうなっていくのか注目しています」(成馬氏)
視聴者を惹きつけるくだけた現代語のセリフ回しは、三谷脚本のほんの入り口にすぎない。ストーリーも出演者の存在感も、今後の展開に注目だ。
◆取材・文/細田成嗣(HEW)