外部と遮断するバブル方式で、競技場でも防護服を着て作業(時事通信フォト)
政府当局は17日、コロナ禍の情勢が依然として「深刻かつ複雑」であるとして、五輪チケットの一般販売はしないと発表。観客はスポンサー関係者や国有企業従業員らに限られることとなった。観客は開幕2週間前から北京を出られなくなるなど、多数の行動制限を受ける。楽しんで観戦するというより、会場の体裁を整えるサクラとして動員されることになりそうだ。それでも東京五輪の無観客に比べれば「成功」とアピールできる。
「中国の国家イベントは、基本的に『成功』という結論しかありません。とはいえ、今はコロナ対応で失敗することのほうが遥かに国民の信頼を失う。前回の夏季五輪に比べたら、今回は3分の1程度しか力が入っていないでしょう。国威発揚という意識は弱く、コロナを封じ込めることに全力を注いでいる印象です」(ジャーナリストで拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏)
メダルの枚数よりも、コロナの感染者数のほうが気になる五輪になりそうだ。
(了。前編から読む)
【プロフィール】
西谷格(にしたに・ただす)/1981年、神奈川県生まれ。早稲田大学社会科学部卒。地方新聞の記者を経て、フリーランスとして活動。2009年に上海に移住、2015年まで現地から中国の現状をレポート。主な著書に『ルポ 中国「潜入バイト」日記』『ルポ デジタルチャイナ体験記』など。
※週刊ポスト2022年2月4日号