W杯フランス大会出場の夢実らず、帰国後記者会見した三浦知良(左)と北沢豪(時事通信フォト)
それまでカズが受けてきた批判が城を襲った
視聴率47.9%を記録した世紀の一戦で、カズと交代してゴールを挙げた城彰二は“エース”とメディアやサポーターに囃し立てられ、ベテランのカズには逆風が吹いた。
「予選の序盤や中盤で休んで、代わりに入った選手が得点を挙げても、一気に世代交代論が加速することはなかったでしょう。逆にその選手がノーゴールに終われば、カズ待望論が生まれたと思います。ベテランは結果を出せなければ、若手や中堅以上に批判されます。しかし、代わりに出た選手が常時ベテラン以上に活躍するようになるとは限らない。
W杯予選の終盤、そしてW杯になれば、ベテランの力は必要になってきます。長友は最近、パフォーマンスが上がりませんが、3大会連続W杯出場という何者にも変え難い経験を持っている。だからこそ、今はじっくり休ませて、バッシングを回避させ、英気を養わせた方がいいでしょう」
ケガによるコンディション不良、バッシングによる精神的負担もあってか、カズはアジア最終予選終了後も精彩を欠き、1998年のフランスW杯には出場できなかった。33歳の2000年、京都パープルサンガで30試合17得点を挙げてJリーグのゴールランキング3位に入ったことを考えれば、その3年前は衰えたというより、一時的な不調という言葉が適切だったかもしれない。加茂監督や岡田監督が休ませていれば、状況が好転していた可能性もあるだろう。
「当時の日本はW杯未出場でしたし、メディアを含めてサッカー界全体が成熟していなかった。本戦直前でカズはメンバー落ちしましたが、それまでカズが受けていた批判を今度は城が一手に浴びることになった。そして城は、本戦でノーゴールに終わった。カズがメンバーに入っていれば、城への重圧は和らいだでしょう。そうなれば、3戦全敗という結果は避けられたかもしれない。日本はフランス大会から全てのW杯に出ているわけですから、長友が過度の批判に晒されるというカズバッシングの時と同じような過ちを犯してはならないと思います」
2月1日のサウジアラビア戦、指揮官は左サイドバックに誰を指名するか──。