パペットを持って現れたことも
こうした“ドラマの価値を測る尺度”の変化によって、ドラマの内容自体が見直されることにもつながると鈴木氏は続ける。
「テレビ局は、見逃し配信における15秒CMの単価を2円から4〜6円に引き上げる努力をしています。CM本数も5本から10本に増やせば、売り上げは何倍にもなります。
つまりテレビ局にとって、リアルタイムでのテレビ視聴者が減り視聴率が下がっても、見逃し配信や有料配信で補って余りある収入が得られれば、問題はないのです。実際にTBS日曜劇場は、その方向に向かい始めています。
こうなると、より多くの人に受けるドラマである必要はなくなります。たとえ視聴者数がこれまでの半分、極論すれば10分の1であったとしても、見逃し配信で単価の高いCMをつけることができたり、あるいはSVOD(定額制動画配信)で高い配信料を得られたりするのであれば、全く問題がない。むしろCMを挟んだり有料になったりしても視聴したいと思わせるような尖ったドラマがより価値の高い作品となってきます。
ドラマの評価基準は否応なく変化しています。報道するメディアの側がいつまでも視聴率が高い低いと騒いでいる場合ではないんです」
ドラマが成功したか否かを視聴率で判断したのは過去の話。大衆受けよりもコアなファン獲得へと向けたコンテンツが増えていくというのが今後の流れとなりそうだ。
◆取材・文/細田成嗣(HEW)