後藤茂之・厚労相(時事通信フォト)

後藤茂之・厚労相(時事通信フォト)

 2年前の悪夢を思い出させる。新型コロナの感染が始まった2020年2月、厚労省はPCR検査の体制が整わなかったため、自治体や保健所に「37.5度が4日間」という受診の目安を通達し、症状が出ても病院を受診できずに重症化する患者が続出した。当時の安倍晋三・首相は「すべての患者がPCR検査を受けられる検査能力を確保する」と言明したが、あれから2年、首相が2人交代しても状況は全く改善していない。

 なぜ、同じことが繰り返されるのか。これまでコロナ無策は菅前政権や日本医師会のせいだと批判された。だが、元凶は別にいる。医療行政・感染症対策の元締めである厚労省だ。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広・医師が指摘する。

「米英をはじめ先進諸国はこの2年間にコロナ対策の強固な仕組みを作っています。これらの国々の人々は非接触を希望したから、在宅での検査体制を整備した。米国のバイデン政権はネットで検査キットを注文すれば自宅やその場で結果が分かる仕組みなどを整えた。軽症患者への対策もプライマリーケアはオンライン、ワクチン接種もウーバーが接種会場まで運んでくれる」

 それに対して日本の体制はどうか。

「厚労省は、病院に行って検査を受けろと言いながら、民間の検査キットをなかなか承認しなかった。そして感染力が強いオミクロン株の拡大で検査体制がお手上げになると、『検査なしで診断していい』なんて滅茶苦茶です。薬事承認は厚労省の重要な仕事。海外はワクチンも薬も検査キットでも承認が早いが、日本は遅い。検査キットが足りなければ、市販されている未承認のキットを精査して追加承認すればいいのに、自分たちの利権に関わるからしない」(同前)

※週刊ポスト2022年2月18・25日号

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