今回、ラグビー協会での自分の体験を本にしようと思ったのは、決して彼らへの意趣返しではありません。私は、新リーグ「JAPAN RUGBY LEAGUE ONE」の成功を心の底から願っているんです。ただ、失敗や教訓も含め自分の経験をきちんと本にして残すことで、どうしても閉鎖的な部分があるスポーツ界に一石を投じられたら──と。今後の若い世代のためにも、絶対に避けてはならないことだと思ったんです。
川淵:それはいいことだね。僕もラグビーが大好きだから、なんとか新リーグも成功してほしいと思っている。だからこそ、少しでも谷口さんの力になればと協力してきたんです。もちろん、谷口さんの退任にはもどかしさも感じていた。本当なら、いまごろ新リーグの理事長として活躍してほしいと思っていたぐらいだからね。自分の「負の経験」も含めて、伝えていきたいという谷口さんの気持ち、尊重しますよ。
※『おっさんの掟~「大阪のおばちゃん」が見た日本ラグビー協会「失敗の本質」』より抜粋。2021年10月、日本サッカー協会にて取材。
【プロフィール】
川淵三郎(かわぶち・さぶろう)/1936年大阪府生まれ。早稲田大学在学時にサッカー日本代表に選出。1964年東京五輪に出場。日本代表監督などを経て、1991年Jリーグ初代チェアマン、2002年日本サッカー協会会長に就任。現在は同協会相談役。
谷口真由美(たにぐち・まゆみ)/1975年大阪府生まれ。法学者。大阪芸術大学客員准教授。専門は国際人権法、ジェンダー法など。「全日本おばちゃん党」を立ち上げ、テレビやラジオのコメンテーターとしても活躍。2019年6月、日本ラグビーフットボール協会理事に就任。2020年1月にラグビー新リーグ法人準備室長に就任。その後新リーグ審査委員長も兼任するが、2021年2月に法人準備室長を退任。6月に協会理事、新リーグ審査委員長も退任。著書に『おっさんの掟~「大阪のおばちゃん」が見た日本ラグビー協会「失敗の本質」』など。