メドレーの最後は全員参加で華やかに
途中で歌詞を忘れたり、音程を外したり……ハプニングに加え、歌手としての真の実力が垣間見られると大いに話題となったオープニングだ。
さらに、番組の知名度を一気に上げ、歌手の方から「出演したい」と言わしめるようになった企画がある。番組開始から1974年6月頃まで行われていた「コンピューター恋人選び」だ。
「その当時の最先端のコンピューターを使い、恋愛相性を計算して理想の相手を導き出す企画です。いまならパソコン1台でできるかもしれませんが、当時のコンピューターはスタジオの半分を占めるほどの大きさでした。
いしだあゆみの理想の相手に森進一が選ばれ、彼女が感激して泣いてしまったんですが(1969年2月24日)、これが話題となり視聴率が急上昇。おかげで、モノクロからカラー放送に移行する頃(同年3月31日)には、キャスティングに困ることはなくなりました」
さらに、同番組がアーティストから支持を得た最大の理由は、「生バンドによる演奏で、フルコーラスを歌う」という原則だ。
「番組の都合で歌をカットするのではなく、フルコーラスできちんと聴かせることが重要です。セットも照明もカメラワークも、歌と歌手をよりよく見せるためのもの。そのために全力を尽くすというスタッフの心意気が、歌手にも視聴者にも伝わっていたように思います」
【プロフィール】
疋田拓さん
テレビプロデューサー・疋田拓さん/『夜ヒット』の立ち上げから番組に参加し、1977〜1987年にプロデューサーを務めた“ミスター夜ヒット”。令和3年度文化庁長官表彰。現在は番組制作会社『プロデュース&ディレクション』代表。
取材・文/山下和恵 撮影/浅野剛 写真/女性セブン写真部
※女性セブン2022年2月17・24日号