ライフ

評判、経営上の理由、在庫処分…「自分ではのまない薬」を医師が処方する理由

(写真はイメージ)

処方薬を取り巻く”事情”とは?(写真はイメージ)

「では、今日のぶん出しておきますね」。そう言って手渡された薬を、処方した医師本人はのんだことがない——そんな事実を知ったら、患者はどう思うだろうか。匿名の現役医師だからこそ話せる「私たちがのまない薬とその理由」。彼らはなぜ、効果が見込めなかったり副作用が大きかったりする薬を処方するのか。現役医師が告白する。

【座談会に参加した現役医師たち】
A男(50才)内科クリニックを開業
B子(42才)総合病院の内科勤務
C彦(54才)心療内科・精神科クリニックを開業
D美(49才)総合病院の整形外科勤務

A男「開業医の立場で言うと、大きな理由は“評判”です。以前、風邪で来院した患者さんが抗生物質を出してほしいというので『ウイルス感染の風邪には効かないし、耐性菌を生む危険性もあるから』と断ったところ、ネットのクチコミにひどいことを書かれたことがありました。もちろん、うちの病院は患者さんにできる限りきちんと説明して処方しますが、知り合いの開業医は『評判を落としたくないから求められるまま出している』と言っていました……」

C彦「経営的な理由で薬を出す場合も、正直あります。脂質異常症や高血圧、糖尿病など慢性の生活習慣病の患者を診ると、医療機関側は『特定疾患療養管理料』が受け取れます。たとえば、少しコレステロール値が高い女性がいたとする。既往歴も家族歴もなく、薬をのむほどでもないのに、病名をつけて薬を出し、定期的に通院してもらえば管理料がもらえるから、処方してしまうというわけです」

D美「薬も口に入るものだから食べ物と同様、使用期限があるため “在庫処分”という理由も実は存在する。薬剤師さんから『この薬の使用期限が切れそうだから、できれば使って』と言われることも」

A男「特に生活習慣病の薬や向精神薬は類似した薬がさまざまな製薬会社からたくさん出ているため『この薬でないと治療できない』というケースは少ないですよね。そんなときにどう選ぶかといえば『うちの新薬を使ってくれませんか?』と声をかけてくる製薬会社の営業さんとの関係で処方する薬を決める場合もあります。研究費をあの製薬会社からもらっているから、類似の薬はあるけれど、この薬を優先的に使おう、という思考も働きがちです」

C彦「“患者ファースト”とはほど遠い状況ですよね……。それに、一度処方した薬は患者さんから苦情や要望がない限りずっと使い続けるケースは多い。特に精神科や心療内科はいま、本当に混んでいて、初診でない限り一人ひとりにじっくり話を聞くことは難しい。5分の診察では薬を変えましょうと提案するのはハードルが高い面もある」

関連記事

トピックス

公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
立花孝志容疑者(左)と斎藤元彦・兵庫県知事(写真/共同通信社)
【N党党首・立花孝志容疑者が逮捕】斎藤元彦・兵庫県知事“2馬力選挙”の責任の行方は? PR会社は嫌疑不十分で不起訴 「県議会が追及に動くのは難しい」の見方も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の打ち上げに参加したベッキー
《ザックリ背面ジッパーつきドレス着用》ベッキー、大河ドラマの打ち上げに際立つ服装で参加して関係者と話し込む「充実した日々」
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《噂のパートナーNiki》この1年で変化していた山本由伸との“関係性”「今年は球場で彼女の姿を見なかった」プライバシー警戒を強めるきっかけになった出来事
NEWSポストセブン
デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン