火口の想定範囲

自分の住む地域が範囲に入っていないか確認しておこう(富士山火山防災対策協議会の「大きな噴石の飛ぶ範囲」可能性マップより)

 登山者や観光客はスマホやラジオを携帯して気象庁の情報に注意。噴石にはヘルメットやリュックで体を守り、火山灰にはゴーグルで目を、口や鼻はタオルやマスクで守るのが大事とアドバイスする。

 ちなみに、溶岩流に対しては「流下が想定されるライン(幅)外(横)への避難」が原則となると山梨県火山防災対策室の避難に関するQ&Aにあり、風水害時の避難所避難とはそこが大きく違う。

 トンガ海底火山大噴火で津波警報が出た際に避難しない人も少なくなかったが、噴火避難では気象庁と地域からの情報がわが身を守る命綱となる。だからこそ、噴火警報と地域の避難情報に常にアンテナを張っておく必要がある。

溶岩流や降灰後の土石流で起こる東西分断

 改定版の計算結果では、溶岩流が神奈川県に及んだり、東海道新幹線や高速道をのみ込むリスクも判明している。

 東西の大動脈が分断されれば日本経済が冷え込み、国防や国際関係にも影響する。

「水はけのよい火山に火山灰が積もると微粒子がビニールシート状になり、雨が降ると斜面を流れて火山灰と一体化して土石流となり、人命を奪い、家や道路・鉄道施設を破壊し、水産資源被害も引き起こします。

 降灰後の土石流被害は山に火山灰がある限り続き、小田原を流れる酒匂川では宝永噴火後約100年、洪水が続いたほどです」(池谷さん)

 降灰後は、国の緊急調査で土石流の危険区域等の情報が出されることになっている。

取材・文/北武司

※女性セブン2022年3月3日号

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