話題を集めているNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリィバディ』。ヒロインの好演が注目を集めているが、周囲を固める役にも熱い視線が送られている。その一人が早乙女太一(30才)だ。月9、時代劇にも出演する早乙女の演技についてコラムニストのペリー荻野さんが解説する。
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今シーズンのドラマでは、早乙女太一がいい味を出している。ポイントは、主人公と対立するポジション、敵役であること、そして「白」と「黒」のテーマカラーがあること。
「白」は、朝ドラ『カムカムエヴリィバディ』のトミー北沢役。京都のジャズ喫茶「Night and Day」を拠点に活動するトミーは、ヒロインるい(深津絵里)が応援する錠一郎(オダギリジョー)のライバル。
実績も実力あるトミーは、結構な俺様系。関西一のトランぺッターを決めるコンテストで、錠一郎と名勝負を繰り広げる。赤いジャケットの錠一郎に対して、真っ白なスーツに白い帽子のトミー。ステージにふたりが並ぶと、まさに紅白対決であった。
一方、「黒」の役は、BSプレミアム『雲霧仁左衛門5』の山川安左衛門。大奥総取締滝山(ともさかりえ)に見込まれ、火付盗賊改方に出世した山川は、大盗賊・雲霧仁左衛門(中井貴一)一党の捕縛を狙う。陣笠から着物一式黒ずくめの山川は、冷たい顔で証拠もなく捕らえた者たちを容赦なく拷問。
最後まで口を割らなかった雲霧の老盗賊も命を落とす。自分たちに不利な秘密を知る商人をバッサリと斬り殺す山川は、まさに“黒い盗賊改”である。
さらに白と黒が合体したバージョンは、フジテレビ『ミステリと言う勿れ 炎の天使編』の井原香音人役だ。金髪頭をすっぽり覆う白いフードに黒いパンツ、白黒猫を抱えた香音人は、親が死に、こどもだけが生き残った放火殺人事件の現場に居合わせた主人公の整(菅田将暉)の動きを注視し、「その整というやつも燃やしちゃえばいいんじゃないかな」と言い放つ!? そして、整の前に姿を現し、「炎の力を使って、僕らと同じつらい思いをしている子どもたちを助けてあげたいと思ったんだ」と言う香音人の正体は…。。
白と黒、早乙女の役に共通するのは、少し屈折していること。トミーは、本命視されていたが、コンテストで優勝できなかった。しかし、心の中では錠一郎の力を認め、挫折したライバルを助けるのである。また、香音人も自身が虐待からのサバイバーだと告白。子どもたちを救うために動いていると語る。そして、山川は滝山の実弟で、父が切腹させられ、とり潰された自分の家の再興のために手柄をと躍起になっているのである。