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中国が人民軍大将の称号授与式 7人中5人は大卒、修士、博士の異例

昨今の中国人民解放軍では大学などを卒業して、入隊して出世するというケースが増えてきているという

昨今の中国人民解放軍では大学などを卒業して、入隊して出世するというケースが増えてきているという

 中国の習近平国家主席(中央軍事委員会主席)はこのほど、中国人民解放軍の最高位である大将の称号の授与式を実施した。7人の中将が大将に昇格したが、そのなかで下士官からの叩き上げの軍人は2人で、他の5人は国防大学や国防科学技術大学など解放軍直属の高等教育機関出身であることが明らかになった。

 中国では伝統的に「好鉄不打釘、好人不当兵(良い鉄で釘を作らないように、優秀な人物は兵隊にはならない)」と言われてきたように、能力のある人物は軍隊に入らないというのが常識だったが、昨今の中国人民解放軍では大学などを卒業して、入隊して出世するというケースが増えてきている。

 中国国営新華社通信によると、今回、昇格した7人は1961年から1963年生まれで58歳から60歳。軍幹部の定年が65歳なので、あと5年以上現役を続けられる計算だ。

 新華社通信は7人の経歴をかなり詳しく報じているが、これは極めて異例で、軍の情報開示が進んでいることを示している。

 7人の経歴を見ると、中学校卒で軍隊に入り、下士官からの叩き上げで大将にまで上り詰めたのは、呉亜男氏と袁華智氏の2人だけ。他の5人は大学、さらには修士課程や博士課程修了といった高学歴だ。

 呉氏は1962年生まれで、中国東北部の遼寧省阜新市出身。小隊長、中隊長、幕僚、大隊長、装甲旅団参謀長、旅団長、吉林遼源軍小区長、集団軍副参謀長、陸軍第16集団軍装甲第4師団長を経て、2017年3月に陸軍78集団軍司令官、2020年4月に北部戦区軍司令官に昇格し、2022年1月には中央戦区司令官に就任しているが、階級としては2014年7月に少将に、2020年4月に中将、そして今回の授与式で大将に昇格した。

 袁氏は海軍の叩き上げで1961年生まれの60歳と7人の中では最年長。南シナ海の西沙諸島の西沙海洋警察区を振り出しに、同区政治委員から海軍政治部宣伝部長、海軍海洋旅団政治委員、人民海軍新聞社社長、海軍政治部秘書長、南海艦隊政治部副部長などを歴任するなど、エリート街道とはいえない経歴だ。

 この2人とは違って、軍内でもエリート中のエリートといえるのが1963年生まれの李玉超氏で、国防大学卒業後、国防科学技術大学で修士課程と博士課程を修了し、ミサイル部門の第2砲兵部隊で新型ミサイル開発に関わり、2005年3月、新型通常ミサイル旅団に異動し旅団長に就任。2008年には第2砲兵56基地の副参謀長に就任。その後は第2砲兵53基地司令官や、第2砲兵部隊を改変したロケット軍の55基地司令官などを経て、2020年4月にはロケット軍トップの司令官に昇格し、大将に任じられている。

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