家事などの日常生活の何気ない動作が首に負担をかけている(写真/GettyImages)
首の痛みでうつ病になる場合
首への負担が生むのは外見の問題だけではない。体に異常を来すケースも少なくない。多くの人が悩む代表的な症状は、首から肩にかけての痛みだ。
「頭の重さを支えるためにこり固まった首の筋肉は、やがて痛みを感じるようになり、筋肉を介してつながっている肩にも伝わります。悪化すれば背中や肩甲骨の内側、脇の下まで伝播することもある。首は神経が集中する繊細な部位であるため、痛みも感じやすいのです」(竹谷内さん)
松井さんが懸念するのは首への負担から自律神経に乱れが生じることだ。
「首まわりの筋肉が硬直すると、すぐそばにある自律神経が強く圧迫されます。すると相反する作用を持つ交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、動悸や倦怠感、不眠や多汗症、めまいや頭痛など全身に作用するような疾患が次々と生じます。
自律神経の異常によって起きるだるさや意欲の低下が解消されずに慢性疲労症候群と診断され、学校や会社に行けなくなる人も珍しくありません。副交感神経には涙を出す働きや瞳孔を小さくする神経もあるためそれらが制御され、瞳孔がしまらなくなった結果、ドライアイや眼精疲労に悩まされるケースもありました」(松井さん・以下同)
蝕まれるのは体だけではない。
「自律神経の乱れによってうつ病を発症し、来院する人が急増しています。これはいわゆる精神病である『うつ病』とはまったく別の病気であり、精神科の治療では治すことができません。自律神経を治すことで完治する新しいうつなのです。精神科にかかって抗うつ薬を処方されてもまったく効かず、原因を探ったら首のこりにあったという事例が極めて多い。女性の産後うつも授乳や乳児を抱く動作が原因と推測されます。
最近、うつ病の罹患者が急増していますが、その95%以上は首への負荷による自律神経の異常が原因です。その証拠に自律神経を治療することできれいさっぱりうつ症状が霧消する数えきれないほどの症例があるのです」
※女性セブン2022年3月24日号