これがA氏が配っていた名刺
A氏は「やましいことは何もない」と開き直るが、NHKの依頼で調査を行うA氏の判断次第で、推される歌手がいれば、切られる歌手もいる。だからこそ、レコード会社は「NHK公認ドラマ音楽プロデューサー」の名刺を持つA氏に多額のカネを払い、「助けてほしい」と持ちかける。
A氏はその名刺をNHKの上層部から「許可を受けて配布した」と断言したが、前述24日の総務委員会で、その真偽について問われた正籬総局長はこう述べるのみだった。
「ドラマの主題歌、アーティストの選曲につきましては、NHKが自らの判断で決定しております。いまご指摘のどなたがどういう収入を得ているかについては承知しておりません」
そして、4月11日からはじまる朝ドラ『ちむどんどん』の主題歌がどこのレコード会社が制作するのかを問われると、すでに曲やタイトルが3月14日に正式に発表されているにもかかわらず、冒頭のように回答を避けた。これには阿部議員が「(事前にこの問題について)聞きますよと言ったのに」、「こんな不誠実な国会答弁、国会対応ありますか!」と声を荒げる場面もあった。
国会で質疑が行われる前日にNHKで行われた、定例の放送総局長会見でもひと悶着があったという。
「定例会見でも当然、記者からA氏に関する質問が出ました。その時の正籬局長とのやり取りから、あるスポーツ紙はウェブ版で、正籬局長が『NHK公認ドラマ音楽プロデューサー』を名乗る男性がいることは把握していると記事にしたのですが、その後、NHKの担当者が『把握している』の部分を『聞いている』に修正するよう、しつこく申し入れ、結果的に書き直したそうです。『把握』していれば局として調査しなければならないため、現段階では伝聞にとどめておきたかったのでしょう。
他の媒体では、A氏に対し『何らかの対応をすることは考えていません』というNHK担当者のコメントが当初掲載されていたものの、後に削除されたのですが、これもNHKサイドからの要請だったと言われています。NHKからメディアへの異例の申し入れの数々は、“圧力”とも取られかねず、批判の声が上がっています」(社会部記者)