「もし感染者が確認されたら」だって、それを言い出したら誰も何もできません。当然、両校は納得の上で“練習試合”に参加しているわけなので、外野があれこれ言って「事なかれ主義」を押しつけようとするのは大きなお世話です。
「(メンツをつぶされた)実行委員会が気の毒だ」という声もありました。つまり「大人のメンツを守るために子どもは黙って我慢すべきだ」と言っているわけで、優先順位が明らかに間違っています。日頃から建前や組織の論理だけで動いている人は、何の疑問もなく「メンツ至上主義」に陥ってしまうのでしょうか。ちょっと気の毒です。
実行委員会としては、試合をやらせてあげたいのは山々でも、レギュレーションに従うしかありません。お人好しな想像かもしれませんが、こういう形になったことを内心では喜んでいるのではないでしょうか。今のところは、大人の暗黙の連係プレーが見事に結実した形になっています。今後、それこそ「メンツ至上主義」を振りかざして、ワイルドナイツや参加した2校に文句をつけるなんて残念すぎる行動に出ることはないですよね。
「心あたたまるニュース」で素直に心あたたまるのは、なかなか容易ではありません。どうにかしてアラを探したくなったり「オレにいわせりゃ」と気の利いた見解を言いたくなったり、いい話であればあるほど、自分の中にひそんでいる「足の引っ張り合い主義」や「事なかれ主義」や「メンツ至上主義」が顔を出してきたり……。
そりゃ、探せばアラは見つかるでしょうけど、外野がそれを指摘する必要があるでしょうか。ひとりひとりの「なんか言いたい欲」の積み重ねが、今回のワイルドナイツのような「勇気ある行動」をどんどんやりづらくさせてしまっています。
「いい話」を聞いたときに自分がどう感じるか、どう言いたくなるか、日頃から意識したいところ。もちろん何でも無批判に受け入れて、常にノンキに心あたたまりましょうと言いたいわけではありません。ニュースにせよ周囲の人の言動にせよ、無駄にケチをつけていると、結局は自分が窮屈になるだけということは忘れたくないものです。