新たなMeToo運動につながる可能性

シオンプロダクションのホームページには「お詫び文」が

シオンプロダクションのホームページには「お詫び文」が

 園監督自身は、2018年に出版したエッセイ『獣でなぜ悪い』(文藝春秋)で、〈俳優をまずひとりの人間として見て、その存在を尊重することが大切だと思っている〉と持論を展開している。

 同著では〈彫刻家の前でモデルが「脱げません」と言うのがおかしいように、俳優が「脱げない」と言うのはおかしい〉ともつづられている。園監督の“脱げる女優”へのこだわりは業界内でも有名だった。

「『裸になれないなら、女優としての資格はない』という考えを公言していました。また、『(女性は)使えるものを使って何が悪い』とも発言しています。当時は、『それくらいの覚悟を持った役者と仕事をしたい』というある種のたとえ話として受け止めていましたが、今回の報道によって“女優としての覚悟とはそういうことだったのか”と違和感をもって受け取る人、見え方が変わった人も少なくないでしょう」(前出・映画業界関係者)

 あくまで芝居の中でなら、裸になるかどうかは演出や表現の話だ。それが、この映画業界関係者が言うように「見え方が変わる」というのは、今回の報道でまた有名監督と若手女優との間にある大きな立場の違いが浮き彫りにされたからだろう。

 映画業界に限らず、芸能界ではキャスティングに強大な権限を持つ男性が、出演を希望する若い女性たちを性的に搾取しやすい環境があったことは否めない。法務省のワーキンググループにて専門家からのヒアリングで提出された「性暴力の被害経験に関する質的調査報告」でも、〈加害者は被害者よりも社会的地位が高い〉ことや〈女性は従順さをよしとする、人間関係で波風を立てるべきではない(という)文化規範〉が、暴力を伴わない「エントラップメント(罠)型の性被害」の促進要因になると指摘されている。

 2017年、アメリカ発の#MeToo運動では、それまであまり声に出せなかった被害者たちから多くの性加害の実態が明かされ、やはり「大きな権力を持つ男性と、立場の弱い女性」の関係の中で起きた事例が数多く取り沙汰された。園監督に関する報道の真相はまだ不明だが、榊英雄監督、木下ほうかに続く告発だけに、これが新たな#MeToo運動につながるかもしれない。

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