独自調査で分かった小児接種の副反応
医師も「わからない」
国は今回の小児接種において、心筋炎の発生頻度が低いとされるファイザー製ワクチンを推奨し、投与量も成人の3分の1にしながら、予防接種法に基づく「努力義務」を外している。
その理由について、厚労省は「新型コロナワクチンQ&A」のサイトで、「小児については、現時点において、オミクロン株に対するエビデンスが確定的でない」ことを挙げ、「今後の最新の科学的知見を踏まえ、改めて議論することが適当である」としている。
努力義務が外されたことで、大阪府泉大津市では、南出賢一市長が「5~11歳の接種の安全性やワクチン効果などに関する十分な情報やデータがそろっていない」として、ワクチン接種券を一律送付せず、希望者のみが申請して受ける方式とした。同様の対応をする自治体は複数存在する。
そして、判断を難しくするのは、小児への感染率は高いが、重症化率が低いことだ。
厚労省によると、3月29日の時点で10歳未満の新型コロナ陽性者は累計約80万9000人で、同日時点での重症者は6人(回復した者は除外されている)、累計死亡者は3人(うち基礎疾患があった児童は2人)だ。
国も自治体も、小児接種について対応が揺れるなかで、子供を持つ親は自ら判断を下さねばならない。はたして、どう考えればいいのか。上医師は、こう答える。
「小児全員に接種させるべきかと訊かれたら、『わからない』と答えるしかない。成人や高齢者の場合は、接種のリスクよりメリットのほうが大きいので打つべきと言えますが、小児は家庭環境によって答えが分かれます。ただし徐々にではありますが、研究が報告され始めているので正しい情報を元に判断すべきでしょう」
多くの保護者が懸念しているワクチンの副反応については、米医学誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)』に、米国の小児2268人を対象に調査した論文が掲載されている。副反応は、「接種部位の痛み」が71~74%、「発熱」が8.3%、「疲労」が0.9%、「頭痛」が0.3%、「悪寒」が0.1%、「筋肉痛」が0.1%で発生していた。死亡例はもとより、心筋炎、心膜炎、過敏症、アナフィラキシーの報告はなかったという。