国内

看護学校でパワハラ横行、退学者続出 背景に医療現場の体育会系気質と教員不足

現役看護師が医者の秘密を明かす

看護学校を取り巻く環境には改善の余地がある(写真はイメージ)

 人材大手・パーソルの試算によると、2030年には、「医療・福祉」分野で約187万人の人手不足が発生するという。その未来を回避するためにも、いまからの人材育成は急務だ。ところが当の教育現場には、夢を持って看護の道に進もうとした人の心をへし折るパワーハラスメントが広がっていた。

 超高齢化が進む日本では、医療従事者の人手不足は、今後、より一層深刻になると考えられている。加えて、この2年間のコロナ禍は、日本の医療体制の脆弱さに光を当てることになった。

 コロナで医療崩壊が叫ばれるようになってからは、現場の人手不足を解消するため、資格を持ちながらも現職の看護師として働いていない「潜在看護師」を、現場に呼び戻そうとする動きもある。それでも、労働環境の厳しさから離職率が高いのが現状だ。医師や看護師、准看護師や介護士といった医療従事者の育成・確保は急務だ。しかし、その育成現場には悲惨な状況が広がっている──。

《1年生38人のうち15人自主退学、パワハラ原因か》

 朝日新聞が3月4日、千葉県にある「木更津看護学院」での生徒の大量退学を報じた。そこは准看護師を育てる2年制の学校だ。記事によると、教員が「ばかに教えることはない」と生徒の提出資料を床に投げつけたり、「髪形が似合っていない」「体重は何kgか」と容姿をからかう発言があったという。また、教員に質問した際に「面倒くさい」と回答を拒否されたとも報じられた。

 それから3週間後の3月29日、今度は北海道で、道内の看護系学校で起きていたパワハラ問題について、教員10人が懲戒処分を受けた。「江差高等看護学院」と「紋別高等看護学院」で認定されたパワハラは、50件以上にのぼる。

「ペンでぶっ刺すぞ」
「暴行をしたくなる」
「お前みたいなバカは死ね」

 教育機関とは思えない暴言が、日常的に飛び交っていたという。パワハラに耐え切れず自殺未遂した生徒や、退学によって医療の道を絶たれた生徒もいる。

関連記事

トピックス

山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン