ピラニア軍団のアニキ分でもあった渡瀬恒彦

ピラニア軍団のアニキ分でもあった渡瀬恒彦

 映画に出演しても、入ったカネをこうしてすぐに酒などに浪費してしまう連中ばかりだった。だからいつも文無しだった。

 かつて、志賀勝(享年78)は雑誌の取材に、「基本的にタクシーはタダ乗りだった」としてこう話している。

〈一緒に乗った役者仲間と車内でケンカを始めんねん。それで車を止めさせて、「表に出ぇや!」っていって、外でケンカする。そうすると、タクシーが勝手に逃げていくから。こっちは「金払わん」とは言ってへんねんで?〉(『サイゾー』2013年11月号)

 プライベートでも粗野で粗暴。しかし彼らが酒の席で最も熱くなったのは「芝居」について語る時だった。橘が語る。

「お酒を飲みながら撮影が終わった映画の芝居について、『あの場面はこうだった』『あの時はこうしたかった』と激しく議論していました。何でもない端役で出演しただけなのによくそこまで熱くなれるなって(笑)。

 結局みんな、役者という仕事が大好きだった。一生懸命だけど不器用で、人間臭くて正直な人たちでした」

(第4回につづく)

※週刊ポスト2022年4月29日号

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