事件が暗く、陰惨な内容も多いだけに、一の明るいおちゃらけと美雪の清潔感はドラマの要。道枝は持ち味の人懐こさとしなやかさを足した形の新たな一となった。
またこのシリーズは、日本の高校生文化を記録してきたこともよくわかる。なぜかもみあげを強調した堂本剛は、ポケベルや赤電話で連絡をとる。松本潤はダメージジーンズを履きこなし、亀梨和也は茶髪に細い眉毛で制服のネクタイはゆるゆるだ。山田涼介はスケボーで疾走してみせた。
美雪たちもそれぞれに時代を映す。ともさかりえの制服のスカートはミニ、短めのルーズソックスがかわいい。鈴木杏は黒髪をツインテールにしたり編み込んだり、ナチュラルメイクの上野樹里は短パンでグラウンドを走る。川口春奈は制服のソックスもきっちりして優等生らしかった。ちなみに美雪を演じた五人は、ともさかりえ『北条時宗』『篤姫』、鈴木杏『花燃ゆ』、上野樹里『江~姫たちの戦国』、川口春奈『麒麟がくる』、上白石萌歌『いだてん~東京オリムピック噺~』と大河ドラマでも重要な役を演じ、高校生役とは違う魅力も発揮している。
先日の放送で、校内で焼き芋を焼く道枝の一や手帳に幼稚園時代の一と自分の写真を入れている上白石の美雪は、いじらしくも昭和っぽかったが、道枝版も令和の高校生文化の記録として残るはず。第二話(8日に放送延期)では、ギリシャ神話の海の怪物セイレーンを思わせる「聖恋島」で殺人事件が起こる。シリーズ定番の島を舞台にしたストーリーだ。今どきのツールを使いこなしつつも、解けない謎にどう挑戦するか。注目だ。