芸能

歌手引退の橋幸夫が語る昭和の芸能界 “その筋の人”が仕切っていた時代

激しく妖しくも華やかだった昭和の芸能界のあれこれを、橋と横山が振り返る

“その筋の人”も芸能界に関わり合いがあった時代を、橋と横山が振り返る

 昭和を代表するスター・橋幸夫が、来年5月3日をもって歌手活動にピリオドを打つ──。その知らせを聞いて居ても立ってもいられなくなったのが、『週刊ポスト』で「昭和歌謡イイネ!」を連載するクレイジーケンバンドの横山剣。橋が横山とともに1960年代の芸能界を振り返る。【全5回の第3回。第1回から読む

 * * *
横山:当時と現在の芸能界では、どんな点に顕著な違いがありましたか。

橋:1960年代は、いわゆるその筋の人たちが興行に関して権利を保有し、ショーの一切合財を仕切っていました。

横山:興行権の話は聞いていましたが、こうして橋さんから直接、お伺いすると、実にリアルです。

橋:強面の人たちが、年中堂々とレコード会社に出入りしていたんだから、おかしな世界でしたよ。

横山:コンプラの厳しい昨今では、考えられないですね。

橋:しかも、あの頃は警察の力が弱くて、何も手を出せなかったよね。警備のために地元の警官が会場の楽屋に来ると、ヤクザが「何しに来た。俺たちがいるから、警察なんていらねえよ!」とすごんで、追い返しちゃうんだから(笑)。

横山:何かトラブルは起こりませんでしたか。

橋:若き日の僕の身に降りかかった最大の災難が、1963年に起こった金沢での襲撃事件です。

横山:襲撃? おだやかじゃないですね。

橋:当時は、コンサートのクライマックスともなると、お客さんが舞台に上がってくるのが普通でした。ファンから、千羽鶴などのプレゼントを受け取ったりしてね。

横山:大らかな時代だったんですね。

橋:その回では、聴衆でごった返すステージ上に、ピカッと光る何かが目に入った。気がつけば、軍刀を手にした男が、僕に何度も斬りつけてくる。自衛のために強く刃を握り締めた後遺症で、僕の手には、いまだに曲げることのできない指があるんです。

横山:散々な目に遭いましたね。

(第4回へ続く)

【プロフィール】
橋幸夫(はし・ゆきお)/1943年、東京都荒川区生まれ。1960年に『潮来笠』でデビューし、日本レコード大賞新人賞を受賞。『いつでも夢を』、『霧氷』で2度の日本レコード大賞受賞。現在、“最後のコンサートツアー”で全国を回っている。

横山剣(よこやま・けん)/1960年、横浜出身。1981年にクールスRCのヴォーカル兼コンポーザーに抜擢されデビュー。1997年春、地元本牧にてクレイジーケンバンド結成。これまでに数多くのアーティストにも楽曲を提供している。

構成/下井草秀 撮影/内海裕之

※週刊ポスト2022年5月6・13日号

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