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「日テレに“天下り”」 元内調トップで安倍氏側近、北村滋・元内閣情報官の転身で波紋

元内閣情報調査室トップが日テレに(時事通信フォト)

元内閣情報調査室トップが日テレに(時事通信フォト)

 安倍政権時代に「官邸のアイヒマン」と呼ばれた大物警察官僚の北村滋氏が日本テレビホールディングス(HD)と子会社の日本テレビ放送網の監査役に天下り予定であることが波紋を広げている。日本テレビHDが役員異動として発表した。就任は6月29日になる。

 北村氏といえば、警察庁でスパイや国際テロ対策などを担当する外事畑を歩き、第1次安倍内閣では首相秘書官を務めた。その後、兵庫県警本部長や外事情報部長などを歴任して民主党政権末期に内閣情報調査室トップの内閣情報官に就任し、第2次安倍内閣が発足するとそのまま留任、足かけ8年にわたり内閣情報官として内調を仕切った。

「官邸のアイヒマン」の異名は、この内閣情報官時代に内調の情報力を駆使して数々の官邸がらみのスキャンダルの“火消し”に動いた手法に対し、それを警戒するメディア側がそう呼び始めた経緯がある。

 その一つが安倍政権を揺るがせた加計学園問題だ。同学園の獣医学部新設計画をめぐっては、内閣府から「総理のご意向」と伝えられたという文部科学省の経緯確認文書の真偽が争点となり、前川喜平・元文科事務次官の「文書は本物」という証言で官邸は窮地に追い込まれた。

 そのタイミングで読売新聞が前川氏の「出会い系バー通い」をスクープし、証言者の前川氏はスキャンダルにさらされた。

 当時、この「出会い系バー通い」は警察が情報をつかみ、北村氏が仕切る内閣情報調査室ルートで官邸にあげられ、官邸からリークされたものとの見方が様々なメディアで報じられ、北村氏の情報収集力の高さを物語る“伝説”のひとつとなっている。

 北村氏は安倍晋三・元首相や菅義偉・前首相の信頼が厚く、2019年には安全保障の司令塔を担う国家安全保障局長に抜擢。菅前政権まで務めた。国家安全保障局長時代には当時のトランプ米大統領、プーチン・ロシア大統領と相次いでサシの会談をするなど官僚としては異例の外交手腕を見せたことでも知られる。文字通り安倍―菅長期政権を陰で支えた「官邸官僚」の1人だ。

 一方の読売・日本テレビグループはこれまで大物財務官僚の天下りを受け入れてきたことで知られる。

 真砂靖・元財務事務次官は退官後、日本テレビHD社外取締役などを務め、現在は読売新聞グループ本社監査役。増税路線で知られた勝栄二郎・元財務事務次官は読売新聞東京本社非常勤監査役を務めたが、この6 月には北村氏と同時に日本テレビHDと日本テレビ放送網の取締役に就任する予定だ。

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