私は、「そうですか。でも、最後はみんなが一致して歴史的な行動を取れたじゃないですか。僕は政治記者冥利に尽きるものを見させてもらったと思っています」とこれはお世辞抜きで言った。
ところが小沢は、またも私の予想を超えることを言い出した。
「いや、本当に大変なのはこれからだ。新党を作ってもこっちは候補者もカネも足りない。少々の風では自民党に勝つのは難しい。君もよく分かっていると思うが、こういう時の自民党は強い。新党で選挙に勝って羽田を首班にする。それが俺の目標だ」
小沢は、すでに次の闘いに思いを巡らせている。いや、小沢の闘いはまだ始まったばかりだったのだと私は思い知らされた。
(第4回に続く)
【プロフィール】
城本勝(しろもと・まさる)/ジャーナリスト。1957年熊本県生まれ。一橋大学卒業後、1982年にNHK入局。福岡局を経て東京転勤後は、報道局政治部記者として経世会、民主党などを担当した。2004年から政治担当の解説委員となり、『日曜討論』などの番組に出演。2018年退局後は、2021年6月まで日本国際放送代表取締役社長を務めた。
※週刊ポスト2022年5月27日号