2013年に脳梗塞を患った元テレビ東京アナウンサーの大橋未歩さんは、自宅で突然左手のしびれに襲われたという(時事通信フォト)
それによると、テレビ東京で2020年4月、テレビ番組以外のコンテンツで収入を得るために立ち上げられた「クリエイティブビジネスチーム」に配属された上出氏は、群馬県高崎市の暴走族に取材した音声コンテンツを企画した。完成したコンテンツは、一度はテレビ東京審査部に「コンプライアンス的に問題なし」と判断されたものの、配信直前になって上層部から問題視され、各部署でたらい回しにされた挙げ句、社長から「社長として、テレビ東京としてこの案件の責任は取れない」とNGをくらってしまった。
文章の中で上出氏は、「テレビはとっくにジリ貧である」と指摘し、「外へ出よう」とも綴っていた。今回の退社は、まさにその言葉通りの道を選んだとも言えよう。
テレビ東京に上出氏の退社について聞くと、「6⽉10日付で退社の予定です」(広報部)と認めた。前出のテレビ局関係者は語る。
「上出氏に限らず、テレビ業界の未来を案じる人間は大勢います。佐久間さんは円満退社ではありますが、やはり『業界はこのままのやり方を続けていてはダメだ』という危機感を強く持っていました。
テレビ業界が予算の削減やコンプライアンスでがんじがらめになり、昔の勢いを失う一方で、ABEMAやNETFLIX、YouTubeといったウェブの映像コンテンツが台頭しています。そんなエンターテインメントの変革期にあっては、自分の表現したいことが明確な人だったり、クリエイティブな才能にあふれた人ほど、新しい挑戦をしてみたくなるのかもしれませんね」(前出・テレビ局関係者)
もちろんテレビ局の内部から必死に組織を変えていこうとするテレビマンもいるが、業界全体が抱える問題が背景にある以上、今後も各局で優秀なプロデューサー・ディレクターの退社が続きそうだ。