国際情報

「危ない環境」に置かれる日本 核保有国に囲まれ、戦場になるリスク

(写真/アフロ)

今年3月、北朝鮮は新型弾道ミサイル「火星17」の発射実験に成功した(写真/アフロ)

 ウクライナ戦争が始まって、まもなく3か月が経つ。しかし、アメリカの調査機関などから長期戦を示唆する分析結果も出始め、いまだ終息の兆しが見えていない。

 ロシア軍に包囲されたウクライナ南東部マリウポリのアゾフスタル製鉄所では、ウクライナ部隊2000人以上が兵糧攻めにされたうえ砲撃を受けるなど苦しい戦いを強いられていたが16日以降、ウクライナ兵の退避が続いている。一方、ロシア軍の撤退の動きが伝えられている北東部ハルキウでは、住民の帰還が始まった。

 一進一退が続くなか、ロシアのプーチン大統領の暴走が心配される。4月15日、ウクライナのゼレンスキー大統領は米CNNのインタビューでこう述べた。

「ロシアが核兵器や化学兵器を使う可能性がある。彼(プーチン大統領)らにとって人々の命などなんでもない。覚悟を決めるのです。これはウクライナだけでなく、全世界の問題なのです」

 世界に向けて核戦争に備えるよう警告したのだ。さらに翌日、ゼレンスキー大統領は公開した動画でこう追言した。

「ロシアが核兵器を使うのをただ待つべきではない。世界各国はシェルターなどさまざまな方法で備える必要がある。ロシアが核兵器使用の考えを起こさないよう、交渉を行うとともに経済に圧力をかけるべきだ。ロシアはどんな兵器でも使いかねない国で、絶対に信用してはならない」

 侵攻を受ける国の若きリーダーの悲痛な叫び──しかし、その脅威について日本はまだ“対岸の火事”という考えが強い。都内在住の60代主婦が言う。

「ウクライナ戦争のニュースを見るたび胸が苦しくなりますが、日本で同じようなことが起きるとは、正直、想像できません。日本は戦争しないんですよね? 核シェルターまで、本当に必要なんでしょうか」

 戦地となったウクライナから地理的に遠いこともあり、日本全体として危機感の共有ができていないのは事実だろう。それでも専門家の話を聞けば自分たちが置かれている「危ない環境」が理解できる。元自衛隊陸将の福山隆さんが指摘する。

「日本は中国、ロシア、北朝鮮という核保有国に囲まれている。それなのに自国は核を保有せず、アメリカの“核の傘”の下に守られることになっている。それをしっかり認識すべき。このままではウクライナ同様、日本が戦場になるリスクがあるのです」

関連キーワード

関連記事

トピックス

17歳差婚を発表した高橋(左、共同通信)と飯豊(右、本人instagramより)
《17歳差婚の決め手》高橋一生「浪費癖ある母親」「複雑な家庭環境」乗り越え惹かれた飯豊まりえの「自分軸の生き方」
NEWSポストセブン
食品偽装が告発された周富輝氏
『料理の鉄人』で名を馳せた中華料理店で10年以上にわたる食品偽装が発覚「蟹の玉子」には鶏卵を使い「うづらの挽肉」は豚肉を代用……元従業員が告発した調理場の実態
NEWSポストセブン
大谷翔平の妻・真美子さんの役目とは
《大谷翔平の巨額通帳管理》重大任務が託されるのは真美子夫人か 日本人メジャーリーガーでは“妻が管理”のケースが多数
女性セブン
殺人未遂の現行犯で逮捕された和久井学容疑者
【新宿タワマン刺殺】ストーカー・和久井学容疑者は 25歳被害女性の「ライブ配信」を監視していたのか
週刊ポスト
本誌『週刊ポスト』の高利貸しトラブルの報道を受けて取材に応じる中条きよし氏(右)と藤田文武・維新幹事長(時事通信フォト)
高利貸し疑惑の中条きよし・参議院議員“うその上塗り”の数々 擁立した日本維新の会の“我関せず”の姿勢は許されない
週刊ポスト
店を出て染谷と話し込む山崎
【映画『陰陽師0』打ち上げ】山崎賢人、染谷将太、奈緒らが西麻布の韓国料理店に集結 染谷の妻・菊地凛子も同席
女性セブン
高橋一生と飯豊まりえ
《17歳差ゴールイン》高橋一生、飯豊まりえが結婚 「結婚願望ない」説を乗り越えた“特別な関係”
NEWSポストセブン
西城秀樹さんの長男・木本慎之介がデビュー
《西城秀樹さん七回忌》長男・木本慎之介が歌手デビューに向けて本格始動 朝倉未来の芸能事務所に所属、公式YouTubeもスタート
女性セブン
雅子さま、紀子さま、佳子さま、愛子さま 爽やかな若草色、ビビッドな花柄など個性あふれる“グリーンファッション”
雅子さま、紀子さま、佳子さま、愛子さま 爽やかな若草色、ビビッドな花柄など個性あふれる“グリーンファッション”
女性セブン
フジ生田竜聖アナ(HPより)、元妻・秋元優里元アナ
《再婚のフジ生田竜聖アナ》前妻・秋元優里元アナとの「現在の関係」 竹林報道の同局社員とニアミスの緊迫
NEWSポストセブン
大谷翔平(左/時事通信フォト)が伊藤園の「お〜いお茶」とグローバル契約を締結したと発表(右/伊藤園の公式サイトより)
《大谷翔平がスポンサー契約》「お〜いお茶」の段ボールが水原一平容疑者の自宅前にあった理由「水原は“大谷ブランド”を日常的に利用していた」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 岸田首相の脱法パーティー追撃スクープほか
「週刊ポスト」本日発売! 岸田首相の脱法パーティー追撃スクープほか
NEWSポストセブン