「投高打低」の理由は?(写真/共同通信社)
かつてはストライクを取ったらボールを投げ、“平行カウント”を意識するのが常識だったが、そうしたスタイルは減り、「今のピッチャーはどんどん勝負していく」と杉本氏は続ける。
「2ストライクに追い込んでから3球目の勝負ということも少なくない。横の変化球を使ってストライクからボール、ボールからストライクになる球で勝負するのではなく、ホームベース上での変化の勝負になることの違いなんでしょうね。
そうした違いに加えて、直球が速くなっているという要素がある。佐々木のように腕をしっかり振れるピッチャーが、160キロ台のストレートと同じ振りでフォークを投げるとなると、打者は速いストレートでタイミングを取ろうとするために、フォークがくると空振りしてしまう。佐々木に限らず、今のパ・リーグの主戦級のピッチャーにはこのタイプが多い」
追い込まれたらフォークがくるとなれば、早いカウントから打つバッターが増え、それによっても球数が少なくなると言えそうだ。
「最近の選手は手足が長く指も長いから、ボールを挟むフォークボールは投げやすいし、落差も大きくなる。直球のスピードが上がったのは、肩回りを含めた体幹を鍛えるトレーニングが普及したことや、最新の機器を使って投球を科学的に分析し、それに応じたトレーニングができるようになったことも大きいと思います」(杉本氏)
※週刊ポスト2022年6月3日号