芸能

『ちむどんどん』撮影秘話 “海辺で起きた奇跡”と“お蔵入り水鉄砲シーン”

黒島は糸満市出身

ヒロインの黒島は糸満市出身(写真はNHK提供)

 4月にスタートした朝ドラ『ちむどんどん』は、沖縄が舞台の物語。5月16日の第6週から、東京編に突入したが、沖縄ロケで撮影された青い海ややんばるの自然豊かな風景も、ドラマの見どころのひとつだ。

『純と愛』(2012年)以来となる沖縄を舞台とした朝ドラとあって、撮影地である沖縄の各市町村の人々も協力を惜しまなかった。ロケでは控室として公民館が使われ、地元の人々との交流もあったという。

 過去に『ちゅらさん』(2001年)、『ごちそうさん』(2013年)などの作品にも参加してきた制作統括の小林大児さんは、こう話す。

「エキストラとして地元のかたがたに出演いただくだけでなく、差し入れをいただくこともあり、ありがたい限りです。『ムーチー』という沖縄の蒸し菓子は、素朴な見た目も相まって大人気でした」

「ムーチー」は甘く味付けた餅をサンニン(月桃)という樹木の葉で巻いた沖縄で古くから食べられているお菓子だ。ドラマの舞台裏でも“沖縄の味”が人と人の心をつないでいた。

 そんな沖縄ロケでいちばんの悩みの種は天候だ。亜熱帯気候に属する沖縄の天気は変わりやすい。カラッとした快晴が続いたかと思えば、突然スコールのような雨に見舞われる日もあったという。しかし、天候が撮影に味方したこともあった。黒島結菜(25才)演じるヒロイン・暢子が東京へ旅立つ直前に、比嘉家の3姉妹が海辺で水遊びをするシーンだ。

 青空の下、波打ち際で歓声を上げながら水を掛け合ってふざける短いカットだが、美しい風景や、姉妹が心から楽しそうにしている表情を覚えている人も多いのではないか。この前半の名シーンで奇跡が起きていたという。

「もともとは、3姉妹と仲間由紀恵さん(42才)が演じる母・優子が芝生でピクニックをするシーンでした。ところが、当初は曇りの予定だったのがきれいに晴れて海もキラキラと美しかったことから、撮影当日に急遽ロケ地を海辺に変更したんです。黒島さんたちも大はしゃぎで、忘れられないシーンになりました」(小林さん・以下同)

お蔵入りした入浴シーン

 比嘉家のお風呂は薪風呂で、誰かが入浴する際にはほかのきょうだいが薪をくべ、何気ない会話が交わされる。時には、面と向かってはしにくい話が切り出されたり、本音があふれたりする印象的なシーンが多い。しかし、お蔵入りになった映像もあるのだとか。定職につかない賢秀(竜星涼)が町でトラブルを起こしたにもかかわらず、ご機嫌でお風呂に入っているシーンだ。

「賢秀がご機嫌で『翼をください』を熱唱しているのに対し、外で薪をくべている暢子が不満をぶつけるシーンでのこと。竜星さんがせりふを言い終わった後にアドリブで手で水鉄砲を撃ったところ、それが黒島さんにかかってしまった。現場は笑いに包まれましたが、結局、放送では水鉄砲のところは割愛されました」

 現場に響くのは、笑い声だけではない。

「物語の中で『椰子の実』を歌い、見事な歌声を披露した上白石萌歌さん(22才)だけでなく、ほかの出演者も、待ち時間にはふと気がつくと歌を口ずさんでいることがあります。スタジオの控室で、誰かが歌い始めた島唄に周囲のみんなが声を乗せ、“昭和の歌声喫茶”のようになったことがありました」

 ドラマでも合唱シーンをぜひ見てみたい。

※女性セブン2022年6月9日号

関連記事

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン