芸能

『鎌倉殿の13人』小栗旬、揺れ動く感情を巧みに表現する「目と鼻の演技」

人間としての北条義時の変化と武将としての成長を細かな演技を通じて表現している小栗旬(時事通信フォト)

人間としての北条義時の変化と武将としての成長を細かな演技を通じて表現している小栗旬(時事通信フォト)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で北条義時の変化を表現する小栗旬の、目と鼻先の仕草で感情を演じ分ける秀逸さについて。

 * * *
 いつからこんなに感情を押し殺し、策略をめぐらすような芯の強い武将になっていたのだろう。まとっていた雰囲気すら変わっているではないか。そう感じたのは、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第20回における、小栗旬演じる北条義時だ。

 三谷幸喜氏の脚本による今回の大河ドラマは、義時の変化同様、回を重ねるごとに重くシビアなものになってきた。1年を通し、あるトーンをベースにストーリーが展開していくのがいつもの大河だ。しかし今回、序盤は北条一族を中心とした和気あいあい、明るく楽しいホームドラマ的なトーンだったのに、いつの間にか疑心暗鬼に策略謀略が飛び交う鎌倉を舞台に、感情を殺し息の詰まるような緊張感のある戦国ドラマになっている。

 パワーゲームが物語の中心になってきた今、そこにいたのは感情を押し殺し、冷徹になっていく義時であり、源頼朝に振り回されて困り果て、坂東武者たちの間で板挟みになって苦悩していた、素直でまっすぐな人情味溢れる義時ではなかった。そして小栗さんは人間としての義時の変化と武将としての成長を、細かな演技を通じて表現している。

 例えば、義時は以前より笑わなくなった。穏やかな優しい表情を見せるのは家族の前だけだ。個人的にはトホホと吹き出しをつけたくなる困ったような情けないような、やりきれない表情も見せなくなった。小栗さんは、このトホホという感情を表現するのがとてもうまい。困り果てた演技では、まるで死んだ魚のような目を見せてくれる。泣きだしそうなほどの辛さに耐える時は、鼻先に表情が出る。唇を噛みしめ、涙を堪える演技はよく見るが、鼻で感情を演じ分けてしまう俳優はそう多くないと思う。

関連キーワード

関連記事

トピックス

米倉涼子の“バタバタ”が年を越しそうだ
《米倉涼子の自宅マンションにメディア集結の“真相”》恋人ダンサーの教室には「取材お断り」の張り紙が…捜査関係者は「年が明けてもバタバタ」との見立て
NEWSポストセブン
地雷系メイクの小原容疑者(店舗ホームページより。現在は削除済み)
「家もなく待機所で寝泊まり」「かけ持ちで朝から晩まで…」赤ちゃんの遺体を冷蔵庫に遺棄、“地雷系メイクの嬢”だった小原麗容疑者の素顔
NEWSポストセブン
渡邊渚さん
(撮影/松田忠雄)
「スカートが短いから痴漢してOKなんておかしい」 渡邊渚さんが「加害者が守られがちな痴漢事件」について思うこと
NEWSポストセブン
平沼翔太外野手、森咲智美(時事通信フォト/Instagramより)
《プロ野球選手の夫が突然在阪球団に移籍》沈黙する妻で元グラドル・森咲智美の意外な反応「そんなに急に…」
NEWSポストセブン
死体遺棄・損壊の容疑がかかっている小原麗容疑者(店舗ホームページより。現在は削除済み)
「人形かと思ったら赤ちゃんだった」地雷系メイクの“嬢” 小原麗容疑者が乳児遺体を切断し冷凍庫へ…6か月以上も犯行がバレなかったわけ 《錦糸町・乳児遺棄事件》
NEWSポストセブン
11月27日、映画『ペリリュー 楽園のゲルニカ』を鑑賞した愛子さま(時事通信フォト)
愛子さま「公務で使った年季が入ったバッグ」は雅子さまの“おさがり”か これまでも母娘でアクセサリーや小物を共有
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)は被害者夫の高羽悟さんに思いを寄せていたとみられる(左:共同通信)
【名古屋主婦殺害】被害者の夫は「安福容疑者の親友」に想いを寄せていた…親友が語った胸中「どうしてこんなことになったのって」
NEWSポストセブン
高市早苗・首相はどんな“野望”を抱き、何をやろうとしているのか(時事通信フォト)
《高市首相は2026年に何をやるつもりなのか?》「スパイ防止法」「国旗毀損罪」「日本版CIA創設法案」…予想されるタカ派法案の提出、狙うは保守勢力による政権基盤強化か
週刊ポスト
62歳の誕生日を迎えられた皇后雅子さま(2025年12月3日、写真/宮内庁提供)
《累計閲覧数は12億回超え》国民の注目の的となっている宮内庁インスタグラム 「いいね」ランキング上位には天皇ご一家の「タケノコ掘り」「海水浴」 
女性セブン
米女優のミラーナ・ヴァイントルーブ(38)
《倫理性を問う声》「額が高いほど色気が増します」LA大規模山火事への50万ドル寄付を集めた米・女優(38)、“セクシー写真”と引き換えに…手法に賛否集まる
NEWSポストセブン
ネックレスを着けた大谷がハワイの不動産関係者の投稿に(共同通信)
《ハワイでネックレスを合わせて》大谷翔平の“垢抜け”は「真美子さんとの出会い」以降に…オフシーズンに目撃された「さりげないオシャレ」
NEWSポストセブン
中居正広氏の近況は(時事通信フォト)
《再スタート準備》中居正広氏が進める「違約金返済」、今も売却せず所有し続ける「亡き父にプレゼントしたマンション」…長兄は直撃に言葉少な
NEWSポストセブン