熱湯風呂も…(時事通信フォト)
事実、いくつかの番組や人気コーナーがBPOに“クロ”と認定される前に消えていった。
フジテレビの『ほこ×たて』のラジコンカー対決では“やらせ演出”が問題化し、BPOが審議入りする前に番組打ち切りとなった。TBSの『クレイジージャーニー』も2019年に“やらせ演出”が発覚して審議入りする前に番組終了し、翌年に放送倫理検証委員会が「放送倫理違反があった」とする見解を発表した。
大晦日恒例の年越し特番だった日テレの『絶対に笑ってはいけないシリーズ』は昨年の大晦日は休止となったが、その背景には昨年8月にBPOが前述の「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」をテーマに審議入りを決めたことが影響したとも囁かれた。
ドラマ、アニメにも介入
審査の対象はお笑いバラエティー番組だけではない。刑事もののドラマにはつきものの「死体」についても注文がつけられた。
BPOの青少年委員会は、ある連続ドラマについて、「猟奇的に殺された人間の、殺されている姿をそのまま突然前触れもなく放送するというのは、一部の人に『嫌悪感』『過度の刺激』を与える可能性がある」と指摘し、「番組視聴者に、内容によって『見る』『見ない』を選択するための情報を示すことが、放送が持つ公共性の点から必要なのではないか」という委員長コメントを発表した(2016年)。
番組名は特定していないものの、当時、ゴールデンタイムに放映された女性刑事ドラマが議論のきっかけになったとされる。だが、犯罪捜査のドラマでは、事件解決のカギを握ることが多い“死体の演技”への介入はドラマのリアリティに影響が出るとの指摘もある。
かつては深夜番組の定番だった「お色気番組」もいつしか姿を消した。
BPOは番組の性的表現にはとくに目を光らせ、2015年には青少年委員会が各放送局に「深夜帯番組における性的表現のあり方について速やかに議論」することを求める委員長コメントを出した。これがきっかけとなったのか、一部残っていた番組も消えていった。
アニメも例外ではない。青少年委員会は2014年に放映されたアニメ『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』の性的表現を問題視し、放映した2局に対して放送時間帯などについて配慮するよう求め、午後10時台から深夜帯に変更された。
(第3回に続く)
※週刊ポスト2022年6月10・17日号